「アップルの人ものけぞった」、KDDI田中プロが語る新プランの舞台裏
――昨年はNTTドコモが「カケ・ホーダイ」で、通話定額に先鞭をつけましたが、今回は久々にauから仕掛けた印象です。
田中氏まず「同質化」って言葉。僕が最初に決算発表か何かで言って、確かにその方向には向かっているけど、みんな同じになったと言われると、それはちょっと腹立たしく思う。実際は、うちは固定回線とのバンドル(セット割)は2012年3月から開始していた。NTTさんの卸(光コラボ)で追いつかれたと言われているけれども、これだけで1時間喋れるからちょっと置いといて……。でも、たとえばプリペイドカードの「au WALLET」は2014年5月にはじめました。ソフトバンクさんは遅れて提供し、ドコモさんにはプリペイドはない(クレジットのDCMXは2006年開始)。
そんななか、去年の音声定額は、うちもずっと検討していたけれども先を越された。こういうことじゃイカンと思って、もう一度、新しいサービスのリーダーになろうと、前々から準備していた「スーパーカケホ」をやることにしたのです。
これまでの「2700円」という通話定額の料金に対しては、「そんなに電話をしない」「かけない」という声があり、自社調査でも評判があまりよろしくない。
僕が社長へ就任したとき、auのロゴを変えたのですが、あわせて社内では「革新性」「お客さま視点」というポジションで高い位置に行かねば、(資料を示しながら)ここにポジショニングしないといけないと思っているのです。かつては、革新的な部分ではソフトバンクさん、お客さま寄りな部分はドコモさんと言われていて、auは特徴がないと言われていた。(革新性とユーザー視点を踏まえて)ここに行くんだということで、サービスなどを提供してきた。でも、ちょっと抜かりがあったのが音声定額。準備自体はしていたんですが……。
――スーパーカケホは1回あたり5分まで、そして発信回数に制限なしという形ですが、発信回数を制限するというアイデアも検討されたと思います。
田中氏はい。1000円の値下げはあまりにインパクトがある。だから「5分まで」にしました。通話のうち、ほぼ9割はそれで済んじゃう。長い通話は家族宛が多い。だから5分という制限の対象外です。これでカバーできるのが1700円という値付け。
ニーズとしては発信回数のほうだと思っているのです。ちなみに電話の利用が多いのは西日本のほう。だから通話定額を導入すると、西の方は減収するんです(笑)。通話時間で一番長いのは沖縄だったかな。MoU(Minutes of Use)って言う指標があるんです。
――地域によってそういう差があるんですね。
田中氏そうなんです。で、(1700円でも)大丈夫だと思った。1000円の値下げはインパクトがある。夏季休暇中にも考えて、新しいカケホをやろうと決めました。8月下旬だったかな。
でもデータはどうするんだと。3~4GB程度はどうだろうと思い、社内で検討したところ、当初は「5GB」からの契約、という検討結果だった。確かに「5GB」であれば(業績面では)安全なんです。でもそれではいけない。受け入れられないし、(トータルで料金が上がると)むしろ批判的に受け止められる可能性もある。新たに「4GBプラン」を設定するには、システム改修のコストがある。そうした点を踏まえて、やはり「3GBプラン」でいくしかないと。今日(9月18日)からCMが放送されますが、このCMも短期間で制作しました。