Three CTOs talk about the future of "further revolution" in blockchain | FinTech Journal
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CTOら3名が語る、これからブロックチェーンで起きる「さらなる革命」のゆくえ
ビットコインをはじめとする暗号通貨を支える技術として登場したブロックチェーンには、今なお熱い視線が注がれている。さまざまな分野の仕組みを変える革新的な技術として、急速に開発が進んでいるからだ。デジタル金融はもちろんのこと、ゲーム・アート・医療・教育・環境・物流など、その利用価値は計り知れない。そもそもブロックチェーンとは技術的にどのような意味を持つのか。そして、この先どうなっていくのか。ブロックチェーンをはじめとするソフトウェアテクノロジーの仕組みと現在と未来について、LayerX 代表取締役 CTO 松本勇気氏、bitFlyer システム開発部 副部長兼仮想通貨エンジニアの楢﨑弘二氏、double jump.tokyo CTO 満足 亮氏が語り合った。
※本記事は、AWS主催オンラインセミナー「AWS フィンテック 特別セミナー フィンテック 企業が見据える近未来の技術トレンド」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。 <目次>- データ変化の共通認識を作るブロックチェーンの仕組み
- 合法的な資産としての「暗号資産交換業」の潮流
- 新しい価値を生み出し続けているNFT
- ブロックチェーン技術の開発に携わる人材に求められるもの
データ変化の共通認識を作るブロックチェーンの仕組み
ビットコインの登場とともに、一般の人でも知ることになった技術が、ブロックチェーンである。従来は仮想通貨の基幹技術として認識されてきたが、近年、その応用範囲の広さが注目を集めており、企業だけでなく、政府機関なども研究開発に取り組んでいる。 まずそもそもブロックチェーンとはなんなのだろうか。DX(SaaS)事業や金融事業を幅広く展開し、独自の秘匿化技術の開発を進めているLayerXの代表取締役CTOである松本勇気氏が次のように説明している。「ブロックチェーンとは、システムに参加する人たちの間でいつ何が起きたかの共通認識を作るための技術です。いくつかの技術の集合体として捉えることができます」(松本氏) 松本氏によると、ブロックチェーンを成立させる主な技術として「電子署名」「スマートコントラクト」「ハッシュチェーン」「コンセンサスアルゴリズム」の4つが挙げられるという。下の図はLayerXが提供したブロックチェーンの技術の概略を示したものである。 4つの技術の特徴について松本氏はこう解説する。「『電子署名』は鍵を持っている人が『このデータは私のデータです』ということを表明するための技術です。データに『私』というものを与えることができます。『スマートコントラクト』はブロックチェーンを運営する人々の間で合意された特定のプログラムのことです。誰がこれを実行したかが1つの塊になり、タイムスタンプが付きます。『ハッシュチェーン』は登録されたデータの時系列や中身が書き換えられると、改ざんを検知できる仕組みのデータ構造です。ハッシュ値がチェーン状につながっていて、データが変わると、他のハッシュ値も変わり、変化の連鎖が伝播する仕組みになっています。『コンセンサスアルゴリズム』は運営している人たちが『このデータは私たちが合意したデータです』ということを表明する手法です。これらの技術により、誰がいつ何をしたかの情報を共有することができるのです」(松本氏) このブロックチェーンにはパブリックな世界で使用するものとプライベートな世界で使用するものの2種類がある。この2つを明確に分けて考える必要があると松本氏は指摘する。「パブリックブロックチェーンは、ビットコインやイーサリアムのように世の中すべての人が参加できる領域で使われています。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)という新しいアルゴリズムを通じることで、みんなが合意できる仕組みになっています。プライベートブロックチェーンは特定の人たちの間で使う技術です。たとえば、物流系で配送を行う業者と受け取り手などのように、明確な参加者の間で使われています」(松本氏) LayerXではブロックチェーンの研究開発を通じて、セキュリティ・プライバシー分野のプロダクト開発を推進している。つまりデータ利活用とセキュリティ・プライバシーの両立を目指しているのだ。合法的な資産としての「暗号資産交換業」の潮流
パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの両方でビジネスを展開しているのが、bitFlyerである。特にパブリックブロックチェーンに関しては、ビットコインの取引シェア国内ナンバーワンの実績を誇っているという。暗号資産交換業をとりまく状況の変化について、bitFlyerシステム開発部副部長兼仮想通貨エンジニアの楢﨑弘二氏はこう説明する。「暗号資産交換業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。特に大きかったのは2018年のハッキング事件以降の規制強化です。既存の金融機関と同等レベルでKYC(本人確認手続き)を強化する動きが顕著になりました。暗号資産はこれまでは傍流的な見方をされていましたが、ここ数年でその流れが変わり、合法的な資産として認知されつつあります。税制面での議論も始まりました。競合が増えているのも大きなポイントです。現時点(2021年7月28日)で国内において免許を持つ業者は弊社を含めて31社あります。異業種や海外勢の参入が増えており、日々切磋琢磨している状況です」(楢崎氏) 楢崎氏が説明した暗号資産交換業の現状をまとめた表が下記である。 暗号資産自体も「所有」から「利用」へと大きな変化が起きている、と楢崎氏は指摘している。スマートコントラクトを利用したDefiやYieldFarmingなど、新たな技術が数多く登場。同時に、スケーラビリティの解消、コンセンサスアルゴリズムにおける環境問題など、新たな課題も生じている。bitFlyerの今後の展望と自身のエンジニアとしての抱負について、楢崎氏はこう語る。「会社としてはお客さまの資産を預かっているので、セキュリティを第一に考えながらも、技術的なチャレンジを積極的に行い、スピードも重視していこうと考えています。他社との差異や優位性をいかに築くかということも重要なテーマです。エンジニアとしては、ブロックチェーン革命はまだ始まったばかりで、数年後どうなるのかが非常に楽しみです。ブロックチェーンは計算機科学として本流でもあり、今から本気を出してキャッチアップすれば、誰でも1年ぐらいでフロントランナーになれる業界だと考えています」(楢崎氏) 楢崎氏が強調するのはブロックチェーンの可能性の大きさだ。次からはブロックチェーンの技術を活用した「NFT」の現状と今後求められる人材について。【次ページ】新しい価値を生み出し続けているNFTトピックス
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