ガソリン価格の今後を予測。従来水準への値下がりの可能性は?
ガソリン価格の今後を予測。従来水準への値下がりの可能性は?
年末年始の行楽シーズンを控えた時期にドライバーの懐を直撃しているガソリン価格の高騰。全国平均でレギュラーガソリンが170円/Lに迫る勢いだった値上がりはここにきて若干落ち着いてきたものの、従来水準に戻る気配は依然としてなく、頭を抱えている人も多いのではないだろうか。今後のガソリン価格はどうなってしまうのか。【拡大写真を見る】まず、現状の値上がりはコロナ禍からの回復を受けた実需の増加に加え、投機筋の動きも大きな要因となっている。彼らが買いポジションを維持している背景は大きく分けてふたつあるようで、ひとつが世界的な金融緩和によってダブついた資金が商品相場に流入を続けるという見立て。そして、2つ目が先進国の協調増産要請にも応じないOPEC(石油輸出国機構)の強硬姿勢が今後も続くという予想だ。このうち、前者については、米欧の利上げ開始が時間の問題となっているものの、ほぼ過去最高値に達している株価など、さらなる値上がりの見込める投資先がほとんどない現状では、引き続き商品市場への資金流入が続くとみられる。後者についても、温室効果ガス排出削減の取り組み等で先行きの暗いOPECがなりふり構わず「稼げるうちに稼いでおこう」となるのはもっともで、早期に態度を軟化させることは期待できない。また、バイデン政権の切り札だった石油備蓄の協調放出も今のところ効果薄で、逆に先物が値上がりしたところを見ると、放出可能な備蓄量は多くないという事実を投機筋に見切られている感がある。バブル崩壊の後遺症が残るシェールオイルなど、化石燃料の増産投資にも皆および腰で、短期的にガソリン価格が大きく値下がりする可能性は低そうだ。どうにも暗い予想になってしまうが、長期的に見ると風景は変わってくる。何と言っても、主要先進国が掲げる「2050年温室効果ガスネットゼロ」という目標達成には、化石燃料の使用量を大幅に削減することが不可欠だからだ。10年遅れの目標を掲げている中国も合わせると世界需要が激減するのは自明の理で、一方のOPECは財政収入確保のため一定の原油産出を必要とするだろうから、いずれかの段階でガソリン価格が大幅に下落することは避けられないと思われる。現在のガソリン価格の高騰はクルマの電動化、そして経済全体のグリーン化を目前にした最後の厄介な花火と割り切るしかないのか。当面外出する際は、アクセルを踏みすぎないように心掛けるのが賢明そうだ。