200万円の高級ブランド時計でも「原価は2万円」という事実 付加価値を廃し「日本の技術力の物語」を語る、 新しい挑戦
変化の時代では「プロセス目的的」のほうが大事
藤原和博氏(以下、藤原):『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』の話の中で象徴的に描かれている、こんまり(近藤麻理恵)さんのケースがあるじゃないですか。NewsPicksでもここの部分が非常にクローズアップされて話題になっていましたけれども、こんまりさんについて知っている人が多いかもしれないんだけれども。「プロセスエコノミー×こんまりさんのケース」って、どうはまるのか、ちょっと尾原さんに解説してもらって、そのあと、ぼくがプロセスエコノミーのケースを3連発くらい具体的に出していこうと思いますから。
尾原和啓氏(以下、尾原):ヤッター。ありがとうございます。プロセスエコノミーの大事なところは、最初の話では「企業として完成品だと差が付かないからプロセスに軸を置きましょう」と企業の話に見えるんですけれども。個人の話としてすごく大事な話なんですね。
ちょっとアドリブ的に、さっきの図があまりにも良すぎたので、その話を組み合わせながら話したいと思うんですけれども。藤原さん、先ほどの図を一瞬だけ見せてもらっていいですか。
藤原:はい、これね。
尾原:はい。つまり昔ってのは、周りが決めてくれた「自分」の中にいて、ぬくぬく育つことができたんですけれど。今の「自分」って「自分じゃないものと関わり合いながら、自分を成長していかなければいけない時代」とも取れるんですね。ぼくは、娘をグリーンスクールっていう学校に入れさせたんですけれども、なんでそこに入れさせたか? っていうと。
(スライドを指して)これは、リクルートが毎月出しているカレンダーの中で、ぼくが一番好きなカレンダーなんですけれども。「まだ、ここにない、出会い。」という写真で、これの何がすごいか? というと「まだ、ここにない、出会い。」をみんな楽しみにイキイキしながら一歩を踏み出しているんですよ。グリーンスクールの社是って何かというと「Be proud of your Stepping out of your comfort zone」という言い方をしていて。
藤原:オォー。
尾原:つまり、周りが決めてくれた中の自分って、決まった中にいるからぬくぬくして快適なんですよ。だから「本来知らない自分になる」とか「知らないものと関わる」って怖いんですよね。
藤原:分かる。
尾原:そういうのをコンフォートゾーンと言って、教育の一番大事なことって、自分が決められた中に閉じこもるのではなくて「外に冒険しようというのが楽しくなる」というのが一番大事なんですけれども。そのときに大事になるのがこれで。
これは、楽天大学の仲山(進也)学長がつくったチャートなんですけれども。なんとなくみんな「ゴールに行くまでは我慢して、ゴールに着いたら楽しもう」って思ってらっしゃる方が多いんですけれども。
藤原:なるほど!
尾原:富士山に登るときも「富士山に登り切ることを求めて、途中は我慢して我慢していく」というものなのか? それとも山に登っていること自体が楽しいから、楽しくて楽しくて気づいたら「あれ? 山の頂上に着いてた」っていう、いわゆる『水曜どうでしょう』的な旅の道中が楽しいから、気づいたら遠くにいる。変化の時代ではプロセス目的的のほうが大事だ、って話なんですね。