株式投資はインフレヘッジ手段-米国株上昇の新たな解釈に
(ブルームバーグ): 大胆と呼ばれようと、考えが甘いと言われようとも、株式投資家は数十年ぶりの高インフレやそれに伴う長期債利回りの急上昇にひるむ様子を全く見せていない。
米金融当局が利上げ方針を表明し、ウクライナでの戦争は激化し、米国債利回りが大幅上昇する中でも、S&P500種株価指数は過去6営業日のうち5営業日で上昇した。こうした状況を説明する方法をアナリストらが模索する中で支持を集める1つの理論は、株式が消費者物価の高騰時に保有すべき最良の資産の1つだという説だ。
PRSPCTVキャピタルのファンドマネジャー、ローレンス・クリアチュラ氏は、「インフレ環境では、株式は債券よりも明確な利点がある。株式は価格を調整できる企業と連動するのに対し、債券はそれほどではないことだ」と指摘。 「企業は値上げできるし、地元のセブン―イレブンに行くだけでそれは分かる」と述べた。
S&P500種は22日に前日比1.1%上昇した一方、米国債相場は売り込まれた。セントルイス連銀のブラード総裁はブルームバーグ・ニュースに対し、インフレ抑制のため金融政策を迅速に引き締める必要があると指摘。政策金利を年内に3%超の水準に引き上げることをあらためて支持した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイント利上げの可能性を排除しないと述べていた。
パウエル議長とブラード総裁の発言の間に、債券市場は0.5ポイント利上げがこけおどしでないと受け止め始めたとF.L.パトナムのチーフ市場ストラテジスト兼ポートフォリオマネジャーのエレン・ヘイゼン氏は分析。「株式市場は経済がこうした金利上昇では崩壊しないと伝えている」と電話インタビューで述べた。
1970年代と80年代初頭のインフレ期を振り返ると、株式相場と債券相場の分岐に関するヒントが得られる。データトレック・リサーチの共同創業者、ニコラス・コラス氏の分析によれば、同期間の物価上昇が159%で、同様のペースで住宅価格指数が上昇。S&P500種のリターンは169%に達し、マクロ経済の成長鈍化でも企業収益はインフレに歩調を合わせ得ることが示されたという。