どの取引先とどれだけ付き合うか…稼ぐフリーランスの「生存戦略」
売上を「3つの層」に分ける
「好きな仕事だけれど、報酬が安くて生活がギリギリで……」「報酬の高い仕事に頼っていたら、その仕事がなくなった……」
フリーランスは、そんなふうに思ったように収入が得られなくて、ストレスを抱えることもあり得ます。
Photo by iStock私も、独立して数年は売上の上下が激しく、まったく収入をコントロールできませんでした。
私は試行錯誤した結果、セグメント(同じような属性を持つ固まり)ごとに売上を分け、その組み合わせのバランスを見ながら、お客様を選択するという方法にたどり着きました。
セグメントごとに売上を分けるというのは、いわば「売上の見える化」(=売上を階層ごとに分けること)をすることです。売上を「見える化」するためには、「ベーシックインカム(基盤となる収入)層」「収益層」「投資層」という3つの層に分けていきます。
「ベーシックインカム層」には、報酬が高くなくても、ずっと継続している仕事が入ります。たとえば私の場合、長期的な顧問契約を結んでいる会社は、仕事量にかかわらず報酬が発生するので、継続しやすい傾向があります。このベーシックインカム層の仕事で、毎月の生活費を確保していきます。
また、売上金額が低くても、継続性が高かったり、お客様との相性がよくストレスが少なかったりするお客様も「ベーシックインカム層」に入ります。
「ベーシックインカム層」に入るのは、体調不良や家族のトラブルなどが起きても続きやすい仕事かどうかも重要な基準です。仕事が途切れると、人間関係が切れやすくなりますし、もう一度仕事をもらえるようになるまでが大変だからです。
そのため、病気などをしたときでもできるだけ収入に響かないよう、打ち合わせが月1回程度ですむお客様や、遠隔でのミーティングや作業でも問題ないお客様など、途切れにくい仕事を確保しておきます。私はうつ病でダウンしていた期間も、こういったお客様の存在で何とか自己破産せずに、細々と事業を続けることができました。
フリーランスとして駆け出しの頃は、報酬が多少安くても長期で契約してくれる、もしくは継続して契約してくれるお客様をいかに早く見つけられるかによって、安定した事業運営につながります。
「収益層」には、大きく売上が見込めそうな仕事が入ります。たとえば、大きなプロジェクトで、売上が一気に上がる大企業との仕事がそうです。がっつり作業が発生したとしても、それに見合う報酬をもらえることが前提です。たとえ継続しなくても、儲けが出るような仕事は収益層に入れて、売上を伸ばしていきましょう。
「投資層」には、売上はあまりなくてもいい仕事が入ります。たとえば私の場合は、資金調達前のIT系スタートアップ企業との仕事がそうです。資金調達前なので、報酬はそれほど見込めませんが、自分の興味関心の高いスタートアップ企業の仕事に関わることで経験を得られ、積み重ねるとやがて実績になります。
この「投資層」に入る仕事で、好きな分野のスキルを磨き、さらに高い能力を身につけながら、自分のポートフォリオ(作品集)に好きな仕事の実績を増やしていきましょう。私の場合は、常時2割以上の仕事を、この「投資層」にあてています。
売上を「見える化」することで、好きな分野にもチャレンジしつつ、安定した収入を確保しながら、生活をしっかりと回すことができるのです。