オフィス半減や通勤定期代廃止など、さらに新しい働き方を検討開始するレノボ
本誌短期集中連載の「わが社はこうやってテレワークしています」の第1回目の企業として取り上げたように、レノボ・ジャパンは、テレワークの取り組みでは先進的な企業である。
レノボ・ジャパンは、2015年12月からテレワークへの取り組みを開始。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、在宅勤務へのシフトを加速。通常業務時には、20%だったテレワーク比率が、2月27日時点では60%にまで広がり、3月11日時点で86%の社員がテレワークを実施した。
とくに、ゴールデンウイーク明けの5月12日には98%の社員がテレワークを行ない、現在でも、85%の社員がテレワークを実施している。業務によっては、上限で3割までの出社を許可するかたちとしているが、実際には、そこまで到達することはないという。
レノボ・ジャパンのテレワークへの取り組み同社が短期間にここまでテレワークを浸透させることができた背景には、2015年から行なってきた「全社無制限テレワーク」の仕組みが見逃せない。
「無制限」と表現するように、テレワークを実施するさいに、制度の対象とする部門を設けず、全社員が利用できること、1カ月や1週間単位で、何回までテレワークを行なえるといった上限回数を設けないことが、「全社無制限テレワーク」のルールである。
これだけではない。全社一斉テレワークディの定期的な実施によって、社内での活用を浸透。2020年7月23日から開催が予定されていた東京オリンピック開催時には、約2週間にわたって一斉テレワークを実施することを計画していたこともあり、それに向けた準備も着々と進めていた。
そうしたこともあって、新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業が在宅勤務を余儀なくされたさいにも、レノボ・ジャパンは、スムーズに全社一斉テレワークに移行することができた。
「これまでに試験的に実施してきたこと、それにあわせて、会社側からのガイドが的確であったこと、そして、現場が自分たちで、自ら判断して動いた点が大きい。パートナーとの契約書や請求書など、紙の書類を処理するために、出社が必要なさいにも、組織内で社員同士が自律的に分担を決めて、最低人数だけが出社して、作業を行なうといったことがスムーズに行なえた。現場で臨機応変に反応するという仕組みができ上がっていたことが、スムーズな実施につながった」と、レノボ・ジャパン コマーシャル事業部テレワークエバンジェリストの大谷光義氏は語る。
レノボ・ジャパン コマーシャル事業部テレワークエバンジェリストの大谷光義氏また、全社一斉テレワークディでは対象外となっていた電話による営業部門も、新たなツールを導入することで、在宅で行なえるようにしたり、コールセンター部門でも、情報をセキュアに管理できるテレワークソリューションを活用して、テレワーク体制に移行。現在、レノボ・ジャパンのコールセンターでは、73%のオペレータが、自宅からのテレワークによる対応だという。
さらに、本社などで業務を委託している派遣社員も、レノボグループのポリシーをもとに、テレワークを実施するといった取り組みも行なわれているという。