ビジネス 広がる「フードロス」対策 「スタバ」は閉店3時間前からドーナツなどを20%引きで販売
コーヒーチェーン店を運営するスターバックス コーヒー ジャパン(東京都品川区)は8月23日から、売れ残ったドーナツやケーキ、サンドイッチを閉店の3時間前から20%引きで販売する。
店舗での食品の廃棄を減らすための取り組みで、これによって生じた売り上げの一部は認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付するという。
アプリ運営のレット(東京都港区)が手がける食品ロスや在庫ロスを削減できるマーケット「Let(レット)」への出店ショップ数がこの9カ月ほどで2倍近くになったほか、NEC<6701>がスマート街路灯を活用したフードロス削減の実証実験に乗り出すなど、フードロス削減の取り組みが広がりを見せている。
農林水産省などによると、2018年度のフードロス量は600万トンに達し、このうち食品関連事業者から発生するフードロス量は半分を超える324万トンを占める。スターバックスなどの店舗のフードロス削減の取り組みは、今後も増え続けそうだ。
実験で利用者から賛同
スターバックスは、2030年までに店舗などから出る廃棄物の50%削減を目指している。スターバックスの店舗から排出される食品廃棄物の約70%はコーヒーを抽出した後の豆かすだが、約15%は期限切れのフードが占める。
東京都と埼玉県の90店舗ほどで2021年3月に、閉店前にドーナツやケーキ、サンドイッチ値引き販売の実験を行ったところ、利用者から「スターバックスで買うことで良いことに貢献できる」「少しでも廃棄を減らすことができるなら」などの賛同が得られたため、全国展開することにした。
むすびえは、こども食堂を支援しており、スターバックスでは、むすびえへの寄付によってフードロス削減とともに地域の子どもたちのより良い食と未来づくりも支援するとしている。
AIの予測でフードロス9割削減も
レットは8月17日に、「Let(レット)」の出店ショップ数が、2021年8月に2020年11月比約2倍の累計1万1000店を突破したと発表した。コロナ禍で食品関連事業者の新たなオンライン販路拡大ニーズが増加したことが背景にあり、Let内でのイベントの開催をはじめ、食品の販売促進に向けた取り組みを積極的に行った結果、大幅な出店増につながったという。
NECは8月17日に、大阪府枚方市のニッペパーク岡東中央に設置したスマート街路灯に搭載されたネットワークカメラから得られる人流データを活用し、近隣のパン製造販売店の来客数、販売数を予測し、フードロスを削減する実証実験を行ったと発表した。
スマート街路灯のカメラから取得した人流データや、過去の客数、販売数、天気情報、カレンダー情報を基に、NECがAI(人工知能)を用いて需要予測を行ったところ、売れ残りによる廃棄数を従来実績から最大9割程度削減できるケースがあることを確認できたという。
文:M&A Online編集部