午前0時過ぎから20回も「誤配信」…神奈川県の緊急速報メールが東京都内に届く理由は?
1月16日未明、東京都世田谷区在住の記者宛てに届いた緊急速報メール
1月15日にトンガ諸島の海底火山で大規模な噴火が発生した影響で、気象庁は16日午前0時過ぎ、奄美群島・トカラ列島に津波警報、北海道から沖縄の太平洋沿岸を中心に津波注意報を発表しました(岩手県も一時、津波警報)。そんな中、神奈川県内では、津波注意報時には配信されない携帯電話向けの緊急速報メール(NTTドコモはエリアメール)が未明から早朝にかけて繰り返し配信され、ネット上では「眠れない」などと批判が続出しました。その後、神奈川県は災害情報管理システムの委託業者によるプログラムの設定ミスが原因として謝罪しています。【画像】午前0時から7時まで延々…20通の「緊急速報メール」を見る 今回誤配信された緊急速報メールは、神奈川県内だけでなく、東京都内のスマホ使用者にも届き、午前0時過ぎから何度も起こされた人もいたようです。誤送信の経緯を神奈川県に聞くとともに、緊急速報メールの仕組みについて、各携帯電話会社に聞きました。
隣接地域に届いてしまう
まず、1月16日に発生した誤配信の経緯について、神奈川県くらし安全防災局総務室に問い合わせたところ、「横浜市、川崎市など県内の16市町に最大で20回、繰り返し配信されました。緊急速報メールやエリアメールは、携帯電話会社の基地局から配信されるため、川崎市に隣接する東京都大田区や東京都町田市などにも届いたケースがあったようです」と回答がありました。 では、緊急速報メールやエリアメールは、どのように配信されるのでしょうか。まずは、エリアメールの配信サービスを行うNTTドコモ(東京都千代田区)に聞きました。Q.そもそも、エリアメールはどのようなときに届くのでしょうか。機内モードのような通常はネット接続ができない状態でも届くのでしょうか。担当者「当社のエリアメールは、災害などの緊急時において、気象庁が提供する緊急地震速報、津波警報、気象などに関する特別警報、国・地方自治体が提供する災害・避難情報をドコモのネットワークを介して、一定のエリアにある携帯電話に一斉配信するサービスです。例えば、エリアメールによる津波警報・大津波警報は、配信元が気象庁の場合と、地方自治体の場合があります。津波注意報の配信元は、地方自治体のみです。今回の神奈川県のように、津波注意報、津波警報、大津波警報の配信元が地方自治体の場合、配信対象地域および配信の判断は地方自治体が行います。なお、『電源を切っている』『機内モードに設定している』『携帯電話の設定で、エリアメールの受信を拒否している』などの場合は受信できません」Q.神奈川県が16日未明、県内の16の市や町に誤って配信したエリアメールが、東京都の一部地域にも届いたようです。なぜなのでしょうか。担当者「基地局の電波が届く範囲は、市区町村の境界と完全に一致しているわけではないからです。そのため、市区町村の境界付近で隣接地域のエリアメールを受信することもありますし、また1つの基地局で複数の市区町村を広くカバーする(電波が届く)こともあるので、その場合、市区町村の境界付近ではない場所でも、隣接地域のエリアメールを受信することがあります。このほか、エリアメールは、生命に関わる緊急性の高い情報を短時間で配信するために、同時配信専用の通信方式を用いており、市区町村よりも広い範囲で届くことがあります」Q.では、エリアメールは、「○○市の沿岸地域にのみ送る」など、配信地域を細かく指定できないということでしょうか。担当者「エリアメールの配信地域は、市町村および特別区を配信対象の最小単位としており、これより小さい範囲の地域に限定して配信できません」Q.エリアメールのサービスは、基本的にNTTドコモの契約者が対象なのでしょうか。それとも、「ahamo(アハモ)」のような廉価版の料金プランや、「OCNモバイルONE」など、NTTドコモの回線を利用する他社の格安SIMサービスの契約者も対象なのでしょうか。担当者「ドコモの通信サービス(5G、Xi、FOMA)や、ahamoを契約するお客さまが利用できます。ただし、受信に対応していない機種もあります。対応機種については、当社の公式ホームページで確認してください。なお、OCNモバイルONEなど、他事業者さまの対応状況については、当社ではお答えいたしかねます」