NYに原爆投下...していたかもしれないナチスのステルス爆撃機(動画あり)
ナチスか宇宙人か、はてまたナチスの宇宙人が復活し、ノースロップ・グラマン社が米カリフォルニアに抱えるトップシークレットの用地に侵入しちゃってる?
...と思いきや。これは同社エンジニアが爆撃機「ホルテン Ho 229」のアンチレーダー機能をテストしてる場面です。結果は「これが実現してたらすべてが変わっていたかもしれない」くらい恐ろしいものだったそうですよ?
ドイツがブリテンの戦いに敗れた原因のひとつ、それは英国の優れたレーダーでした。そこで、ドイツ空軍率いるヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング総司令官はホルテン兄弟に、ドイツ空軍を優勢に転ずる何かを開発するよう命じた。で、兄弟が思いついたのが大戦当時では最新鋭の、他の飛行機の30年先をいく爆撃機「ホルテン Ho 229」です。幸い実戦に影響を及ぼすほどの生産数には至らなかったのですが。
ご覧のようにこれまで世に出た他のどんな飛行機とも違い、その姿はまるで遠い宇宙から飛来した地球外の物体のようです。
ノースロップ・グラマン社のブラック・オペレーション(闇任務)担当エンジニアと言えば普段は、米空軍のB-2ステルス爆撃機(Ho 229のデザインの後継)(動画)なんかの日常業務をこなしている人たちですよね。その彼らが今回、唯一生き残った機体の残存部を分析し(またかい?)、組み立て直し、ステルスの性能をテストしたというわけです。こんな実験はおそらく初めてではないと思いますけど、今回はナショナル・ジオグラフィックのTVドキュメンタリー撮影のために特別に行いました。
いざ調べてみると、ヒトラーも既にHo 229の中にステルス爆撃機は持っていたようなんです。その飛行機はレーダー吸収を高める木材・カーボン、胴体に統合されたジェットエンジン、ブレンデッドウィングボディを持つお陰で、英国のレーダーシステムに探知されてから8分でロンドンに到着できた。それに引き比べ、他の飛行機は、探知されてから攻撃目標まで到着に19分もかかるので、スクランブル攻撃をかけ敵機を撃ち落とす時間的余裕を英国空軍(RAF)戦闘機に与えてしまうんですけど、このHo 229は迎撃が完全に無理ではないにせよ、ほぼ不可能だった。
しかも恐ろしいのが、仮にドイツにあと1年か2年の猶予があったら戦況はガラリと変わっていた可能性もある、ということ。対イギリス戦線のみならず、米国・旧ソビエトとの戦いにおいても。というのもホルテン兄弟、実はこのHo 229をベースとするもうひとつ別の設計構想も温めていたのです。
それがこの大陸間戦略爆撃機、Ho 18です。
翼幅142フィート(43m)。この爆撃機が承認申請されたのは、1944年です。完成していればベルリンからNYCまで給油抜きに往復できるはずでした。同じブレンデッドウィングボディ(BWB)と、6基のBMW 003Aか8基のJunker Jumo 004Bターボジェットを搭載するお陰で。 ドキュメンタリーでも流しているように、ナチスが仮に1946年まで戦局を持ち堪え、計画通り核爆弾を開発していたなら、あるいはこのHo 18がエノラ・ゲイになっていたかもしれないんです。
でもうれしいことに、「if」は幾重にもあった。そして連合国は手遅れになる前にノルマンディー侵攻を決断したから、今こうして僕らも、妙な格好してかぎ十字拝んでちょび髭生やさずに平穏無事生きていられるってわけですね。-Life is good。
[Fight Global--Ho XVIII A renderings ]
Jesus Diaz(原文/訳:satomi)
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