Gogoの高速機内インターネット「2Ku」のテスト飛行に乗ってきた(前編)
飛行機でもインターネットを使える機内インターネットサービス
GoGoが世界中で提供する「Gogo Inflight Internet」は、飛行機の機上で利用できる機内インターネットサービスだ。現在、多くの国では着陸後の地上走行時、搭乗後のドアが閉まるまでを例外として、基本的に携帯電話回線(ここでいう携帯電話回線とは、LTE、3G、2G、WiMAXなどの無線電波を利用して通信する回線のことを意味する)の電波を出す小型電子機器を利用することを禁止している。これは、携帯電話の電波が、飛行機の計器に対して影響を及ぼす可能性があるのではないかという懸念があるためで、乗客は搭乗後、ドアが閉まったあと、「機内(フライト)モード」などと呼ばれる携帯電話回線の電波をオフにするモードにすることを要求されている。このため、(国によってルールは異なるが)着陸して飛行機が地上走行を始めるまで、携帯電話回線を利用してインターネットへ接続することはできない。
しかし、いまやインターネットは、電話よりも重要な社会インフラになりつつある。スマートフォンの普及が進んだこともあり、いわゆる電話(通話)よりも「LINE」や「Facebook Messenger」のようなインスタント・メッセンジャー(IM)を利用したチャットや、電子メールで連絡をとる人が増えている。従って、飛行機の機内であってもインターネットを使いたいというニーズは強くなっている。
あるいはビジネスユーザーであれば、例えば経営者が国際線に乗っている間に、なんらかの問題が発生して迅速な判断が必要ということが発生した場合、以前であれば日本から米国へ約10時間の飛行中は連絡がとれないということになっていただろう。しかし、機内インターネットが利用できれば、電子メールやIMを受信できるため、そうした緊急時にも対処できる可能性は高くなる。また、筆者のように記事を書く仕事の場合、以前は長距離フライト中はインターネットで検索して調べることができないなど、仕事の効率が上がらないことも少なくなかった。
そうしたユーザーにとっては、機内でインターネットを使えるというのは、(飛行機に乗ってる間も仕事をしないといけないのかという議論は、価値観の問題なのでひとまず置いておくとして)非常に便利だということについては論をまたないだろう。
現在Gogoなどが提供している機内インターネットサービスは、飛行機が巡航高度に達するとサービスが開始され、地上のアンテナまたは衛星を利用して無線通信が行なわれ、インターネットを利用することができる。多くの場合は有料のサービスになっており、乗客がクレジットカードなどで決済することで利用可能になる。
日本ではJAL(日本航空)がGogoのソリューションを利用して国内線でサービスを提供している。米国では、デルタ航空の国際線の一部のほか、国内線ではデルタ航空のほか、アメリカン航空、ユナイテッド航空、アラスカ航空などの多くで利用可能になっており、対応するフライトが増える一方だ。
デルタ航空の国際線機内からGogoの機内インターネットサービスを利用している様子。スマートフォンやPCを利用して機内からWi-Fi経由でインターネットにアクセスできる機内インターネットのサービスがある機材には、サービスを利用するための説明書が用意されている機材によっては前方のギャレーなどにこのように機内インターネットを搭載していることを示すWi-Fiのマークがあるデルタ航空の米国内線機材では、機内インターネットを利用できるかどうかを示すランプもある。青く光っている時は利用可能。基本的には巡航高度に達してから利用することができる