【インタビュー】Reol、『第六感』を切り拓いた「いちばん大きな交差点に出るということ」
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限りない完成度に達した上で、自身の美学とキャッチーさを両立させるセルフプロデュース力の高さは前述したとおり。自らの内面へ向かうラジカルなサウンド構築と、その幅を広げるべく他者との関わりを重視したという作品コンセプトは、結果、自身の可能性をより大きく切り拓くことになったようだ。『第六感』に思い描いたもの、制作面での変化、各曲のサウンド&アレンジ方法、ポピュラリティということについて、じっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。
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■ここからここまでが美しくて■自分がやるべきことだっていう感覚
──ミニアルバム『第六感』は、2020年のフルアルバム『金字塔』とはまた違った雰囲気で。よりEDMやエレクトロサウンドが突き詰められた感じがありますね。
Reol:アルバムは毎回、コンセプチュアルに作るほうで。シングルコレクションのようなアルバムは世代じゃないというか、私はアルバムアーティストで育ってきたので、自分もそういうものを作りたいという感覚が強いんです。
──では、『第六感』にはどういったコンセプトを立てましたか?
Reol:『金字塔』というアルバムが、ソロアーティストとしてどういう音楽性でどういう世界観でやっていくかという基盤作りだとしたら、今回の作品はもっと開けたものを目指したというか。作品としてよりキャッチーな……キャッチーというのもすごく難しい言葉だと思うんですけど、他者との関わりをもう少し広げることがコンセプトになっています。
──その他者はリスナーとの関係も含めですか?
Reol:リスナーともそうですし、私自身の作品の作り方の部分からもですね。
──これまで共に曲やアレンジでタッグを組んできたGigaさんに加え、今回初めて組んだクリエイターの方もいますね。Reol:そうです。トラックメイカーと国境を超えてご一緒したり、そういうことも含めていちばん大きな交差点に出るということが、今回のアルバムのコンセプトです。
──新たな人と組んで、制作面での変化はありましたか?
Reol:『金字塔』からじわじわといろんな方に入っていただいてはいたんですけど、今回も初めてご一緒するトラックメーカーが2人います。なので、人が変わったことで変化した部分はあると思う。でも必然的にこうなったという感じなんです。3作目がこうなるだろうなということは『金字塔』のときから想定していました。
──こういうことをやりたい、というのが先にあったんですね。
Reol:そうです。全部つながりで作っている感覚があるので、1枚作り終わったら、次の作品のことを考えているという感じなんです。『金字塔』を作り終えたときには、次のアルバムはもう少し時間的余裕を持って作りたいというのが大前提としてありました。『金字塔』までは、1年間に2作品くらい出していて、その間にツアーもありましたし、単純に駆け足でやりすぎたというか、身体的に無理をしていたので。そういう部分で、ちゃんとインプットしながら制作したいなと思っていたんです。その矢先に新型コロナウイルスの影響があって、これは、タイミング的にも世の中がそう言っているんだなと感じたので、今回はじっくり作る、ということに向かいました。
──時間がある中で、曲をたくさん作っていた感じですか?
Reol:もちろん作ったんですけど、このアルバムには採用しなかった曲も無限にあるという感じですね。ストックを作っておいてそれを使うことは、私はあまり好きじゃないんです。
──それは、リアルタイム感が欲しいから?
Reol:新鮮なものを出したいというのもそうですし、今作っている作品に入れる必然性がなくなっちゃうというか。ストックしたものを引っ張り出してきても、ほかの曲と並べたときにちぐはぐになってしまう、私の場合はそう感じることが多いので。『第六感』もこの2年間で作った曲だけで構成されているという感じですね。
──それくらいReolさん自身、いろんなものに興味や関心が向くスピード感がある感じでしょうか?
Reol:うーん、どうなんですかね。たぶん私は、いわゆるミーハーではないと思っていて。わりと自分の美学の幅が狭いと思います。ここからここまでが美しくて、自分がやるべきことだっていう感覚がデビュー当時から変わっていないんです。そこから絶対逸れないようにやっているという自覚はあります。
──はい。そこを掘り下げながら、研ぎ澄ましていくという。
Reol:そうですね。ただ、コアなものを作りたいわけではないし、玄人ウケを狙っているわけでもない。そういうものを狙うなら、メジャーでやる意味がなくなってしまうと思うので。自分が求められていることもやるべきだと思うし、求められているなかで自分が作りたいものがどれなのか、それをやるのがプロなのかなと思っています。
──今回、ディープなエレクトロやEDMもあり、またコアな音も聴かせながら、ポップさがど真ん中にあるものになっていると感じました。そのさじ加減は自分でもバランスを計りながら、見極めているんですか?Reol:たぶん、ライティングする人格とプロデュースする人格が自分の中に同居しているので。頭の中で、相談してもらう感じというか(笑)。
──そこは別人格なんですね。
Reol:ドロップがサビです、みたいな曲を日本でやっても、EDMリスナーにしかわからないと思うし。それに私は、ある特定ジャンルに特化した音楽を作りたいわけではないんですよね。“J-POP”ってすごく都合のいい言葉だなと思うんですけど、いわゆる音楽をカテゴリー分けしない、ライトに音楽を楽しんでいる人たちに聴かれる音楽を作りたいというのがあるので。ニッチなことは、自分がわかる程度にしかまぶさないようにしています。
──ポピュラリティを持ちながら、それをいかに壊したり刺激的にしたりというバランス感ですね。
Reol:私は昔からむちゃくちゃチャートも見るし。その一方で、自分自身がいわゆるJ-POPから連想されるような音楽性でないことはわかっているんです。でもやっぱり、売れている音楽の何がいいと思ってみんなが聴いているのかということは、昔からずっと気になっているんです。だから絶対聴きますね、ヒットチャートの音楽も。
──ヒットチャートを自分で研究する中で、今ってリスナーの耳がこんなふうに変化してきているなと感じる部分というのは?
Reol:音楽をスマホで聴く人ばかりになったし、TikTokとかの流行をみると、わかりやすい音が求められているんだろうなとは思いますね。音ネタとか編曲に耳を傾けてくれるリスナーは、わりとTikTokのおかげで増えたと思うんです。ただ、それをみんな“編曲”だと思って聴いてないじゃないですか。いかにそう考えさせないか、みたいな音楽が大事というか。今はそういうものに親和性があるのかなと思います。だから、インターネットミュージックで生まれたような、私の古巣でもあるニコニコ動画とかで生まれた音楽は、若い子には新鮮に聴こえるんだろうなって思います。
──一方で歌詞を重視して、自分に重ね合わせて聴いているリスナーも多いですよね。そうところでReolさん自身、歌詞にメッセージを忍ばせるということも意識しますか?
Reol:歌詞は大事だと思っているんですけど、自分の中ではメロディのほうがプライオリティが高いですね。言葉をいかにリズムとして聴かせるかということを重視するかもしれない。ちゃんと押韻されていないと嫌だし。海の向こうの人が音として聴いたときにも心地よい言葉でありたいというのもあるんです。それは別に海外を意識しているということではなくて、昔からずっとそうじゃないと気持ちが悪いというのがあるので。私はあまり、一聴したときに歌詞が聴き取れるような歌詞は書かないほうですけど、後から何を歌っているんだろうなって思って歌詞を見てもらったときに、なるほどなってなるような、ハッとするようなものが書けたらいいなと思っています。
──楽曲「第六感」などもそうですね、言葉の区切りや音が重視されている。
Reol:そうですね、どちらかというとリズムに振った曲なので。
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■仕事やプライベートで人と関わるなかで■どうしてもメメントモリというのは考える──「第六感」は、曲作りとしてはどういうところからスタートしているんですか?
Reol:これはサビのメロディから作りました。その後にビートを作って、という感じですね。
──デモ段階でどのあたりまで作り込んでいくんですか。
Reol: CM(『BOAT RACE 2020』イメージソング)尺で流れたサビの部分、あれがデモのようなものでしたね。打ち込みなので、プリプロのようなものがないからデモというデモもない。タイアップの話をいただいてCMとして使われるとなると、サビから作ったほうがいいとなるんです。とはいっても、もちろん別にAメロから作ってもいいし、自分がどこから助走をつけたらうまくいくかみたいなことを試した結果、「第六感」はサビからできたという感じでした。
──曲や編曲を一緒にやっているGigaさんとはもう長く作品を重ねてきていますが、ふたりの間で、今回より突き詰めたいところなどはあったでしょうか?
Reol:正直、お互いがどういう音楽を聴いて、何がしたいかは阿吽の呼吸でわかるというか。音楽を作る以外のシーンで会話をすることも多いので、今この音楽にはまってるな、とかもお互いにわかった上で制作に入るので。ここはこれをリファレンスにしてとかは、ほぼ必要がないですね。
──では、KOTONOHOUSEさんやGeekboyさんなど新しい方とはどうでしたか?Reol:KOTONOHOUSEくんとかGeekに関しては、自分自身の個性からかけ離れてない人選をしたつもりですね。たぶん、チェックしてる音楽が自分と似ているだろうし、自分がいいなと思ったものをいいと思う方たちだろうなという勘があって頼んでいるところがある。だから、こちらに寄っていただくというのはなかったんです。好きなブランドが似てるみたいな感覚ですかね。
──好きな感覚が共有できているから大丈夫みたいな。
Reol:そうです、この人もモード系だからみたいな。そういう感覚で近寄っていったので。ここのフィルはどうしたいとか、細かな音符的な話はしますけど、すり合わせとか、大枠での話は特にはしなかったですね。
──KOTONOHOUSEさんはどういったところからの人選ですか?
Reol:私はもともとSoundCloudとかを漁るのが好きで、フューチャーポップとかフューチャーハウスみたいなジャンルがあることも知っていたんですね。ああいうジャンルの方たちの音楽性や音の作りは、とてもボーカロイドに近いんですよ。ageHaでDJをしているようなクラブイベントって、たぶんボカロシーンとも親和性があると思うんだけど、意外と交わらずにきているなと思って見ていて。気になっていたという感じで、お声がけしました。
──実際どんなやりとりをしたんですか?
Reol:一回打ち合わせをして。あとは私、人と会って曲を作ることが基本的にないんです。誰かが部屋にいると曲が作れなくて(笑)。
──そうなんですね。
Reol:はい。データでやり取りをするだけ。誰かが部屋にいると気配が気になってしまって曲ができないので、誰にもいてほしくないんですね。マネージャーさんや友だちとかももちろん無理だし、お母さんとかでも無理なんです。外的なやり取りみたいなものが入ってくると、音楽が作れなくなってしまうので、データを書き出すまでLINEも見ないし。スイッチが違うんでしょうね。人とコミュニケートすることと、自分の孤独から何かを抽出する作業が、工程としてまったく違うから。カメラマンの人が暗室に誰も入れないというのと同じだと思います。
──徹底したプライベートと尋常でない集中力が必要な作業なんですね。KOTONOHOUSEさんが編曲を担当した「白夜」は美しい曲になりました。サウンド的にはどういうイメージで作っていきましたか?Reol:「白夜」はアプリゲームへの書き下ろし曲だったので、オーダーがあったんです。そのオーダーから、ミドルバラードで壮大な感じを求められているんだろうなと解釈して。BPM 90くらいの曲は、これまで作ってこなかったんですけど、ここで一回やってみてもいいかなと。
──サビで曲の景色がぐっと広がる高揚感やエモーショナルさがあって。そのなかに、“生きろ”という叫びが響くのが印象的です。
Reol:ゲームサイドには1コーラス分をお渡しするという話だったので、2番以降で転調させたりとか。こんな展開になるとは私も思っていなかったんですけどね(笑)。ここまでメッセージ性が強く出てくるとも、あまり思わずに作っていたので、結果としてそうなったという感じですね。
──何が自分からこの強い言葉やメッセージを引き出したと思いますか?
Reol:結構私はニュースなども見るほうだし、世の中の動向を追っている部分もありつつ、自分が仕事やプライベートで人と関わるなかで、どうしてもメメントモリというのは考えることなんです。
──死生観ですか。
Reol:私は17歳の時に父親を亡くしているんですが、死んだ直後くらいに曲を作りはじめるようになって。私にとってすごく人間の死というのが身近にあるというか、その瞬間に身近になってしまったんですね。どうしても切っても切り離せない。初めて音楽を作ったときからずっと、そういうものと自分の音楽が表裏一体にある感覚なんです。
──「白夜」もそうですが、悲しみ苦しみ、孤独を描きながらも、希望が感じられます。
Reol:聴いてくれる人に対して、マイナスとプラスを行き来しながらも結果的にはプラスに振れたいというのはありますかね。それはどんな曲においても。
──「ミュータント」と「Nd60」の編曲をしているGeekboyさんはイギリスを拠点とするプロデューサーでDJで、国内外のさまざまなアーティストを手がける人ですね。Reol:解散してしまったんですがf(x)というK-POPのガールズグループが好きで。私、クレジット厨みたいな感じなんですよ。ニコニコ動画とかボカロシーンとかで育つと、誰が作ったかというのを見るんですよね。むしろメジャーシーンってミュージックビデオとかでもクレジットをあまり載せなかったりするから、ディレクターとかもちゃんと載せてよって思うことがあるんです(笑)。だからK-POPも、誰がコライトしているかとか、誰が作曲や編曲を手掛けているんだろうと気になって調べていくなかで、私が好きな楽曲、琴線に触れた楽曲にGeekboyが関わっていることが多くて。これはお願いしてみようかなっていう。「Nd60」のような、“THE K-POP”のダンサブルな感じもやりたかったので。すごくマッチしましたね。
──「Nd60」はどういう感じで曲作りが始まっていったんですか?
Reol:ネオジム磁石の存在を知って。このタイトルはそのネオジム磁石の記号なんです。ネオジム磁石は世界最強の磁石と言われていて、なんでもくっついちゃう。なんでもくっついちゃう磁石っていうところから私が妄想したのが、人間にとってのそういうものって、七つの大罪(キリスト教における、人を罪に導く欲望)なんじゃないかなと思って。惹かれたくないけど、惹かれてしまうものっていうのが、タナトスだったり、エロスであったり、怠惰であったり、憤怒であったり。そういうものと近しいと思って。ただ七つの大罪に対して、エモーショナルな切り口で曲を書いている方はたくさんいると思ったので、私はそこをポップに、あまり裏テーマがわからないように書こうっていうのがコンセプトでした。
──言われて初めて気づく感じでした。まず、リズムが飛び込んでくるという心地よさが先にあって、言葉でグルーヴを生むという音的な感覚が強かったので。
Reol:そうだと思います。
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■ギリギリっていう感じがずっとある■ずっと黄色い線の上を歩いてるみたいな──「Boy」などもその感じですね。「Boy」はミニマルなトラックだからこそ、言葉、声色が際立つ仕上がりです。内容は、ちょっと自虐ではありますが(笑)。
Reol:そうですね(笑)。自分に発破をかけている曲かなと。
──曲に込めた思いとしては、どこかで自分を叱咤する、奮い立たせる感覚もありますか?
Reol:手放しで人に“頑張って”というのは、私には抵抗があって。自分は頑張れているんだろうか?って思ってしまうから、頑張ってと言い切れないところがある。だから楽曲でも、人の背中を押せたらいいなとか聴く人に対してそういうふうに作用してくれたらいいなと思うことがあっても、それをいざ歌詞にしたためようとすると、私の人生の居場所的には、まだ言えなくて。それはこの先、言えるようになるかもしれないし、わからないですけど。今は、とにかく自分がボロボロになっている様を書くことで、自分も頑張ろうと思ってもらえるようにしか書けないし、自分にまだ器量がないんだろうなとも思うけど。逆にいえばそれは、今しか書けない瞬間でもあるのと思うので。
──これまでたくさんの曲を書いてきて、それでも拭い切れないものがずっとある?Reol:曲にして昇華できるものと、そうでないものがあるんですよね。劣等感だったり、よく言われる自己肯定感だったりって、生きている間、ずっと自分の後をついてくる影のようなものだと思うんです。それが完全になくなることって、たぶんないと思うし。自分の人生にいろいろなトピックが起こったとしても、それが消えることは絶対にないんだろうなって。私にとっては、自分が音楽を作ることにおいて、無視できないひとつの要因というか。音楽が作れても別にそういうことを曲にしない人もいると思うんですけど、私はそこが切っても切り離せない。自分が自分たる要素のひとつだと思いますね。感覚的に、ギリギリっていう感じがずっとあるんです。良くも悪くもですけど、ずっと黄色い線の上を歩いてるみたいな。白線ですらないみたいな感覚が、なんかあるんですよね。
──作り続けることは、そのギリギリの感覚があってこそ生まれてくるというか。歌詞を書くということは、自分を削り取っていく感覚などもありますか。
Reol:近年は特にそうですね。昔は、若干恥ずかしさもあって、抽象的な歌詞も多かったし、フィクションみたいに取り掛かることも多かったけど。徐々に変化もあって。自分が感動したり、自分に大きく刻まれている音楽ってなんだろうと思い返したときに、自分が好きだったミュージシャンがめちゃくちゃはらわたを晒してくれた瞬間が好きだなと思ったんですね。終始何も考えさせないでくれる音楽も、私はすごく好きだけど、やっぱり、この人の音楽が好きだなって思ったときって、ある種ダサさが垣間見える瞬間というか、カッコ悪いところを見せてくれたときだと思って。私も音楽を作るからには、そういうタームがちゃんとコンスタントにありたいなと思います。
──今回の制作のなかで、印象深く残っている曲はありますか?Reol:世の中の皆さんと同じように、2020年からどうしても時が止まっている感覚があると思うんです。
──止まっているのか、空白がゆえすごく速かったのか、麻痺している感がありましたね。
Reol:その感覚のなかで、私も2年間この作品を作っていたから。あまり記憶がないというか。取り立てて、ここがすごく覚えているなっていうことがあまりないんだけど、淡々と、地続きで作られたなという感じですかね。
──改めて日常の大事さにも気づく時間でしたね。ミュージシャンであれば、ライブやツアーが日常でもあったと思いますし。
Reol:そうですね。逆に今までのことが非日常だったんじゃないか、くらいの感覚になりましたしね。
──じっくりと制作に向かう時間でもあったと思いますが、Reolさんは曲だけでなくミュージックビデオなども自身が携わっていますね。曲を作りながら、映像的なイメージのかけらみたいなものも同時にある感じですか?
Reol:もしこの曲でミュージックビデオを撮るなら、こういう色味にしたいなとか、こういうシチュエーションだろうなとかは、メロディを書いているときにぼやっと抽象的な感じで出てくるけど。言葉をつけた瞬間に、どういう街にハマる曲だとか、具体的な場所や情景が見えてくるところはありますね。
──「第六感」のミュージックビデオも面白かったですが、自分が生み出すものは自分で手掛けたい気持ちが強いのでしょうか?Reol:手掛けたかったわけではないんです、本当は。そこはきっと、性格とかが起因していると思うんですけど、人に頼ることが苦手なんです。全部任せるよって言ったくせに、ディレクションしてくる人とかいるじゃないですか(笑)。そうなりたくないって思っちゃうんですよね。
──それならば最初から自分でと。
Reol:どうせ黙っていられる気がしないのなら最初から参加したほうがいいんじゃないかという感じで、ずっとやってきてしまったというだけなんです。やりたかったわけじゃないと思いますね、これに関しては。
──そうだったんですね。でも映像など別角度でものを創る面白さとか、広がる発想もありそうですね。
Reol:そうですね。私の音楽の原体験は、ピアノもやっていたんですけど、どちらかというとマーチングだと思っていて。自分の街にブラストという、世界を回っているマーチング界のシルク・ドゥソレイユみたいな素晴らしい集団がいて。子どもの頃、ブラストの公演を見たときに、私もこういうものがやりたいって思ったんですね。自分がやりたいことって、音楽は音楽としてあるんだけど、その音楽を使っていかにその音楽を魅力的に見せるかという、そういうショービズの脳みたいなものが原体験としてあるので。
──それこそ、みんなで作り上げる面白さじゃないですか。
Reol:自分本位なものを作りたいとは思わないんです。それは、リスナーに対してだけではなくて。リスナーっていうものが第三者だとしたら、二者の人たち全員がこの作品にすごく入り込んで作ったなという体験であってほしい──ちょっと押し付けかもしれないなとも思いながらではありますが。そういうのって、すごくわかると思うんですよ、クリエイティヴを見ていく上で。やっぱり人と作ると渦を作ることができるんですよね。それが楽しいと思います。
──渦ですか。
Reol:音楽を作るということもそうだし、ミュージックビデオもそうだし、その先のプロモーションや、レコード会社の人とこの音楽でどうしていくか、この音楽がどう見られたいかのか、みたいなこととかも含めた渦ですね。リスナーに届くその直前までのところが全部クリエイティヴだと思うんです。その渦が大きければ大きいほどいいなという感じ。
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■2021年は私にとって準備の年■アーティストとして次のステップへ──そういうことでは、『金字塔』という前作は、その渦がリスナーをも巻き込んで大きなうねりを生んでいった実感はありますか?
Reol:うーん、ただツアーが止まってしまったとかもあったし……。でも、それはそれとしてすごくいいんだけど、Gigaとやることがお互いにとってスタンダードになりすぎてしまって。ちょっと新鮮味は失われてきてしまったなというのは、うっすらとあったんですね。そういう話ももちろんお互いにしたし。そういうことも含めて、キャパオーバーしていた部分はありますね。作業量的に、完全にほぼふたりみたいな状態で作ってしまっていたので。そういうところを預ける人を探さずやっていくと、ジャングルの原住民みたいになっちゃうんですよ(笑)。
──取り残されちゃう?
Reol:本当に。そうなることを、お互いに危惧していた部分もありました。向こうも他の人とやってみたらいいじゃんって話をしてきたし、私は私で彼自身が他の人と組んで作るものも見てみたいなというのもあって。次の作品はもっと開けたものにしようというのが、『金字塔』の時に決まっていたことだから。今、言っていただけたように、本当に『金字塔』で、もし渦を起こせたのだとしたら、それをもっと大きくするための作品ですね、今回の『第六感』は。
──渦の担い手が増えたんですね。すでに頭の中は次へとシフトしていると思いますが、今感じていることはありますか?Reol:2021年は私にとって準備の年というか。アルバムは作ったし、それが12月にリリースされますけど、そういう部分以外でもアーティストとしていろいろと次のステップに行くために準備をしていた年だったので。まだ読者のみなさんには言えないことが多いんですが。それで忙しかったですね。
──やるべきことがたくさんあったんですね。
Reol:ありました。今まで目を背けていた部分というか、環境作りということにおいて、Reolじゃないほうの“自分”をないがしろにしてReolをやっていたことに無理がたたってきているな、という感覚がずっとあったんです。そこを一度、ちゃんと見直して。生活の立て直しじゃないですけど、そういうことも2020年、2021年はしていました。
──自身がちゃんと地に足がついてないと、流されちゃうような?
Reol:破滅的になっちゃうんですよね、クリエイティヴに対して。あまり良くないなと思います。
──そこに気づいたのは、コロナ禍という強制的なストップ感というのも大きかったですかね。
Reol:あると思いますね。コロナがなかったら、海外のツアー先とかで普通にぶっ倒れたりしてたんじゃなかなって思います。実際、2019年の頭にツアーで中国をまわっていたとき、熱が出たままステージに立ったんです。39度とかあったんですけど、普通にライヴをやるという。結構ありえないじゃないですか(笑)。
──まさに破滅的です。
Reol:そういうことを笑い話にしているけど、それってよくないよなと思って。環境を含めて自分を省みる時間でしたね。難しい仕事だなと思うんですけどね、ReolのライヴはReolにしかできないから。私が飛ばしてしまったら、誰もできない。そういう、プレッシャーとはまた違うのかもしれないですけど、“自分がやらなければ”みたいな意識が、2019年まではちょっと病的な方向に行っちゃっていたなと思っていて。頼るところは頼って、周りに寄りかかりながらやらないと、周りの人たちがいてくれる意味もなくなってしまうなって思うきっかけになりました。
──変革への準備期間でもあった2021年を経て、2022年の活動がますます楽しみです。「まだ読者のみなさんには言えないこと」というのも気になりますし。
Reol:ありがとうございます。楽しみにしていてください。
取材・文◎吉羽さおり撮影◎野村雄治
■2ndミニアルバム『第六感』
2021年12月15日(水)リリースhttps://www.jvcmusic.co.jp/reol6/【通常盤 (CD)】¥2,750 (税込)【初回限定盤A (CD+Blu-ray)】¥4,950 (税込)【初回限定盤B (CD+DVD)】¥4,400 (税込)【ビクターオンラインストア限定盤 (CD+Blu-ray+GOODS[Reolフローズンキーホルダー])】¥7,150 (税込)※数量限定 https://victor-store.jp/item/166373【ファンクラブ限定盤 (CD+Blu-ray+GOODS[Reol 1/10フィギュア])】¥14,850 (税込)※数量限定 https://victor-store.jp/item/166372■ファンクラブ限定盤のお届けについて■●CD+Blu-ray・12/6(月)までにご注文のお客様は12/15(水)のお届けを予定しています。・12/7(火)以降ご注文のお客様は12/15(水)より順次発送を予定しています。●Reol 1/10フィギュア・2月下旬頃の発送を予定しています。▲初回限定盤A/B
▲通常盤
▼CD収録曲 ※全形態共通・All Songs Produced By ReolM1. 第六感 feat.東京ゲゲゲイ(「BOAT RACE 2020」イメージソング)・Music Reol,Giga ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Giga M2. Q? (フジテレビ系TVアニメ「デジモンアドベンチャー:」エンディング主題歌)・Music Giga,Reol ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Giga M3. Ms.CONTROL (アニメ「MUTEKING THE Dancing HERO」挿入歌)・Music Reol,Giga ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Giga M4. 白夜 (スマホアプリゲーム「白夜極光」テーマソング)・Music Reol・Lyrics Reol・Sound Produced By KOTONOHOUSE M5. ミュータント・Music Reol, Geek Boy Al Swettenham ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Geek Boy Al SwettenhamM6. Nd60・Music Reol, Geek Boy Al Swettenham ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Geek Boy Al SwettenhamM7. Boy・Music Reol, Geek Boy Al Swettenham ・Lyrics Reol ・Sound Produced By Geek Boy Al Swettenham
▼DVD/Bluray 収録内容●<Reol Installation Concert 2021 音沙汰 at Tokyo>M1. introduction -沙汰- M2. un, deux, trois M3. カルト M4. 秋映 M5. 1LDK M6. 真空オールドローズ M7. ちるちる M8. ハーメルン M9. No title M10. interlude -白夜- M11. Behind The Night M12. GRIMOIRE M13. 染 M14. 失楽園 M15. Q? M16. 平面鏡 M17. 第六感●Music VideoM1. 第六感 (Dir 番場秀一)M2. Q? (Dir MIZUNO CABBAGE)M3. 白夜 (Dir 番場秀一)M4. Boy (Dir 鴨下大輝)●Bonus Movie (GOBUSATA)
▼ファンクラブ限定盤 収録内容●<Reol Installation Concert 2021 音沙汰 at Tokyo>M1. introduction -沙汰- M2. un, deux, trois M3. カルト M4. 秋映 M5. 1LDK M6. 真空オールドローズ M7. ちるちる M8. ハーメルン M9. No title M10. interlude -白夜- M11. Behind The Night M12. GRIMOIRE M13. 染 M14. 失楽園 M15. Q? M16. 平面鏡 M17. 第六感●Music VideoM1. 第六感 (Dir 番場秀一)M2. Q? (Dir MIZUNO CABBAGE)M3. 白夜 (Dir 番場秀一)M4. Boy (Dir 鴨下大輝)●Bonus Movie (GOBUSATA)●Reol Behind The Scenes 2021●Reol Installation Concert 2021 音沙汰 Live Photo Book (全40ページ/フルカラー)※フィギュアサイズ:Reol 1/10サイズ※特殊パッケージ仕様
■店舗特典■下記チェーン店、および、ショッピングサイトにてReol 2nd miniAL『第六感』を、お買い上げの方に、先着でチェーン別オリジナル特典をプレゼント致します。各特典ともに数に限りがございますので、お早めにご予約・お買い求め下さい。※対象店舗、およびショッピングサイトでの通常予約・購入でもらえます。※Amazon.co.jp及び楽天ブックス等、一部オンラインサイトは特典付カートと特典なしカートがありますので、ご注意ください。※早期予約特典の対象店舗、ショッピングサイトにて対象期間中にご予約の方はチェーン別オリジナル特典とのW特典となります。※上記各特典ともに数に限りがございます。お早めにご予約下さい。※一部、特典の取扱いが無い店舗もございます。予めご了承下さい。※確実に入手をご希望の方は、事前に各店舗様へご確認いただくことをお奨めいたします。▼対象商品2021年12月15日(水)発売 Reol 2ndミニアルバム『第六感』【通常盤 (CD)】¥2,750 (税込)【初回限定盤A (CD+Blu-ray)】¥4,950 (税込)【初回限定盤B (CD+DVD)】¥4,400 (税込)【ビクターオンラインストア限定盤 (CD+Blu-ray+GOODS[Reolフローズンキーホルダー])】¥7,150 (税込) ※数量限定【ファンクラブ限定盤 (CD+Blu-ray+GOODS[Reol 1/10フィギュア])】¥14,850 (税込) ※数量限定▼対象店舗:内容・TOWER RECORDS 全国各店 / TOWER RECORDS ONLINE:『第六感』発売記念オリジナルB2ポスター (TOWER RECORDS ver.)・HMV全国各店 / HMV & BOOKS online:『第六感』発売記念オリジナルB2ポスター (HMV ver.)・TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング:『第六感』発売記念オリジナルブロマイド・Amazon.co.jp:『第六感』オリジナルメガジャケ・ビクターオンラインストア:『第六感』発売記念オリジナルB2ポスター (ビクターオンラインストア ver.)・上記以外の対象チェーン:『第六感』オリジナルステッカー※対象チェーン:アニメイト全国各店 / アニメイトオンラインショッピング、ネオウイング / CDJAPAN、楽天ブックス、セブンネットショッピング、WonderGOO / 新星堂(一部店舗を除く) / 新星堂WonderGOO楽天市場店、ヴィレッジヴァンガード全国各店、JEUGIA各店
※ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて12月15日より配信開始※対応ストリーミングサービス:Amazon Music Unlimited/HD、Apple Music、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、mora qualitas、TOWER RECORDS MUSIC、Rakuten Music、Spotify、YouTube Music、dヒッツ、うたパス、SMART USEN
■Reol『第六感』Apple Music/Spotify 事前ライブラリ追加キャンペーン■12/15リリースReol『第六感』を、リリース前日までにPre-add(Apple music)またはPre-save(Spotify)をしてくれた方全員に“スペシャル待ち受け”をプレゼント※Pre-add・Pre-saveをしていただくことで配信開始日にご自身のライブラリに自動追加されます。https://www.jvcmusic.co.jp/-/News/A025153/103.html
■Reol 直筆サイン入りチェキ プレゼントキャンペーン概要
【応募資格】・日本国内にお住まいの方・Twitterアカウントをお持ちの方・BARKS編集部 Twitterアカウントから投稿される応募用のツイートをキャンペーン期間内にリツイートした方※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でご参加ください。アカウントが非公開の場合は参加とみなされません。※ダイレクトメッセージを受信拒否設定している場合、参加とみなされません。【賞品名・当選人数】・Reol 直筆サイン入りチェキ・2名様【応募方法】1. BARKS編集部 Twitterアカウント「@barks_news 」をフォローしてください。2. BARKS編集部 Twitterアカウントから下記キャンペーン期間中に投稿されるキャンペーン応募用の投稿をリツイートしてください。3. 上記で応募は完了となります。※フォローを外すと応募権利がなくなりますのでご注意下さい。【応募期間】2021年12月15日(水)〜2022年1月15日(土)23:59まで※上記期間内にされたリツイートが応募対象です。【当選発表】・Twitter DMにて当選のご連絡と専用フォームのURLをお送り致します。・専用フォームで必要事項を入力ください。【賞品発送】・配送は国内のみ、賞品は2022年1月下旬に発送予定です。※やむを得ない事情により賞品の発送が若干遅れる場合がありますので予めご了承ください。※ 以下のような場合には、ご当選の権利を無効とさせていただきます。1. ご住所入力の不備により、賞品がお届けできない場合。2. ご不在などにより、運送会社での保有期間を超えて賞品をお届けできなかった場合。【ご注意事項】・転売 (不特定多数への転売、オークションなどを含む)目的でのご応募は、ご遠慮願います。【個人情報取扱い】・お客様からいただいた個人情報は、賞品の発送及び、サービスの開発や、個人を特定しない統計資料、当該プレゼント/モニタにおける商品の発送、及びそれにまつわるサポートのために利用いたします。上記以外の目的で個人情報を利用する場合は、予めその目的を明示し、お客様の同意を頂いた場合のみ、個人情報を利用いたします。※詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。関連リンク
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