IoT無線のLPWAに「920MHz帯」が使われるワケ、活用に向けた法改正も
LPWA(Low Power Wide Area)は、IoT(Internet of Things)デバイスとインターネットなどにつながるゲートウエイを結ぶ。ゲートウエイが各デバイスから収集したデータをサーバーに送信する。このゲートウエイを誰が用意するかによって、LPWAのサービスは「プライベート型」と「キャリア型」の2種類に大別できる。
サービスの提供形態は「プライベート型」と「キャリア型」の2種類[画像のクリックで拡大表示]プライベート型では、IoTのシステムを実装する利用者側が、インターネットなどにつながる回線とゲートウエイを自前で用意する。企業内に無線LANアクセスポイント(AP)を設置してWi-Fiネットワークを構築するのと同じイメージだ。
自分でネットワークを設計できるのでシステム設計の自由度が高い半面、導入時にゲートウエイと回線を調達する手間がかかる。
一方、キャリア型では、LPWAのサービスを提供する事業者(LPWA事業者)がインターネットなどにつながるゲートウエイ(基地局)を敷設する。携帯電話のサービスと同じイメージだ。利用者は、LPWA対応のIoTデバイスとデータ収集用のサーバーを用意すればよい。
ただし、LPWA事業者が基地局を設置していないエリアでは使えないなど、プライベート型に比べると自由度が下がる。
接続形態は大きく3種類
LPWAによるIoTデバイスとゲートウエイの接続形態は「スター型」「ツリー型」「メッシュ型」の大きく3種類がある。
ネットワークの接続形態は「スター型」「ツリー型」「メッシュ型」の3種類[画像のクリックで拡大表示]スター型では、複数のIoTデバイスをゲートウエイに直接接続してデータを伝送する。基本的にはWi-Fiや携帯電話サービスと同じ形態だ。
通信経路やデータ伝送の制御を集中的に管理しやすいが、IoTデバイスの発信した電波がゲートウエイに直接届かないと通信ができなかったり、両者の距離が遠くなるほど通信速度が遅くなったりするなどの短所がある。
ツリー型は、IoTデバイス同士や「中継器」と呼ばれる装置を木の枝のように接続して、バケツリレー方式でゲートウエイにデータを伝送する形態だ。IoTデバイスの発信した電波がゲートウエイに届かなくても、間に他のIoTデバイスや中継器を置くことで通信範囲を拡大できる。
ただし、ゲートウエイに近くなるほどデータの伝送量が増える。配置場所によって必要とする機器の性能が変わってくるので、機器の配置には注意する必要がある。
メッシュ型では、IoTデバイス同士や中継器を網の目のように接続して、バケツリレー方式でゲートウエイにデータを伝送する。ツリー型と同じくデータを中継することで通信範囲を拡大できる。さらに、中継する機器が故障しても迂回路を経由して通信を維持できるメリットがある。
ただし機器の配置についてはツリー型と同様に十分検討する必要がある。