携帯大手3社が楽天に集中砲火、スタックテストを機に基本料0円の見直し狙う?
携帯電話サービスに対するスタックテストの本格的な導入に向けた議論が総務省の有識者会議で始まった。スタックテストとは、ユーザー料金との関係に基づいた回線貸出料金(接続料や卸料金)の妥当性チェックを指す。携帯大手の料金プランが、他社に提示している回線貸出料金の水準を下回り、不当な競争を引き起こすものとなっていないかを検証しようというわけだ。
スタックテストは1年前にも話題となった。携帯大手が値下げや新料金を相次ぎ発表。格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)などで構成する業界団体「テレコムサービス協会MVNO委員会」は現行の回線貸出料金では対抗が困難として、緊急措置の実施を訴えた。その1つがスタックテストだった。
実は、このときも総務省の有識者会議は携帯大手の新料金プランの費用構造分析を非公開で実施済み。関係者によると、携帯大手は「接続料や卸料金の低廉化により、MVNOも同等の料金水準を実現可能」と主張したが、採算はぎりぎりだったもようだ。総務省はこうした検証をスタックテストとして定期的に実施しようと考えている。
「24時間使い放題」などへの不満も
スタックテストの本格運用に向け、総務省の有識者会議が2022年1月31日に実施した公開ヒアリング。携帯大手3社に検証対象や検証方法などに関する意見を聞くものだったが、意外にも楽天モバイルが集中砲火を浴びる結果となった。スタックテストの検証対象には接続料や接続条件などを定めた接続約款の届け出・公表の義務がある携帯大手3社だけでなく、楽天モバイルも入れるべきだとした。
NTTドコモとKDDI、ソフトバンクが口をそろえて主張したのは、楽天モバイルの影響力の強さだ。「近年は楽天モバイルの料金プランに対抗する形で競争が進んでいる。MVNOからの移行先として(楽天モバイルが)選択されているのが多いことを踏まえると、楽天モバイルを含めた検討は1回やるべきだと考えている」(ソフトバンク)などとした。携帯大手3社による「包囲網」の様相を呈していた。