一時避難所に移動式ソーラーハウス 串本町と木下建設が協定
「現場の駅」と名付けたソーラーシステムハウスの前で協定に調印する木下建設の木下英文社長(右)と田嶋勝正町長=和歌山県串本町高富で
和歌山県串本町と木下建設(有田市)が17日、同社が保有する太陽光発電付き移動式ハウス「ソーラーシステムハウス」を、災害発生時の一時避難場所として利用するための協定を結んだ。同社は高速道路「すさみ串本道路」の工事に携わっており、協定は防災面での地域貢献の一環。普段は工事現場の休憩所などとして使いながら、災害時には同社が町にこのハウスを届けて活用してもらう。 幅約6メートル、奥行き約2・4メートル、高さ約2・6メートルのコンテナハウスで、ソーラーパネルで発電してリチウムイオンバッテリーに蓄電する。広さは14・77平方メートルで、消費電力を抑えるための省エネ型の換気設備、エアコン、LED照明、エコ給湯器などのほか、非常時に多くのスマートフォンなどが充電できるコンセントも備えている。 大型トラックなどに乗せて移動できることから、普段は建設現場などの休憩所として使い、非常時には避難場所や簡易医療施設などとしての利用を想定。環境省の補助事業「平時の脱炭素化と災害時の安心を実施するフェーズフリーの省CO2独立型施設支援事業」に採択されており、同社では企画から製作に取り組み、計10棟を保有した。■「現場の駅」見学可 このうち7棟を串本町内の工事現場のほか、1棟を同町高富にある木下建設の事務所そばに「現場の駅」と名付けて設置している。デジタル看板も備え、この施設や工事の進捗(しんちょく)状況、観光情報などを発信する「情報発信基地」として、日曜以外の午前8時半~午後5時に自由に見学することができる。 今回締結した協定は、災害発生時に串本町からの要請に基づいて木下建設がハウスを無償で届けて貸し出すことなどを定めている。 調印式が同町高富であり、田嶋勝正町長が「冷暖房が効き、安否確認などで必要になる携帯電話も充電できる。必ずといっていいほど南海トラフを震源とする地震が起こるといわれるなど、災害はいつ起こるか分からない。活用させていただけるのは本当にうれしく思う」などと感謝した。 木下英文社長も「すさみ串本道路の建設工事に参画して4年がたつが、地元の皆さまのご理解に感謝している。工事は続くので、地元の皆さまとともにこれからも防災対策に取り組みたいと考えており、本日の締結式はその一歩」とあいさつした。