価格高騰!止まらない中古車の値上がりとその理由は? | 中古車なら【グーネット】
中古車購入チェックポイント [2022.01.06 UP]
価格高騰!止まらない中古車の値上がりとその理由は?
今、中古車の価格が高騰しています。原因はさまざまで、国内では新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う新車の生産減少が尾を引いており、それに海外での日本車人気の過熱ぶりや海外メーカーの規模縮小などが重なって、まるでバブルのような状況を生み出しています。ここでは中古車の値上がりの現況や背景と原因などについて説明しましょう。先行きの見えない中ではありますが、状況をしっかり把握して今後の価格変動に備えてください。この記事の目次中古車が高い!なぜ?
現在、中古車価格はほぼ高止まり傾向が続いており、市場はいわば「バブル」のような状況に陥っています。原因は新車供給の停滞、鉄スクラップ相場の高騰などで、この状況はしばらく続くと思われます。これに新型コロナウイルスの感染拡大や国際情勢などが影響し、ますます今後の予測が立てにくい状態です。高止まりでは売れにくいですし、バブルが弾ければ暴落することになるので、中古車価格の動向にはかつてないほど関心が集まっています。そのため、オークションでも人気の車種などは奪い合いになってしまうような状況が続いています。活気があるのはいいのですが、欲しい車が入手できない人が増えることで価格も吊り上がっているのです。コロナ禍による需要増による値上げ
中古車価格の値上がりは、もともとの高騰傾向に新型コロナウイルスの感染拡大が追い討ちをかけてしまいました。一見、感染症の拡大と中古車価格は無関係に見えますが、意外な形で間接的に影響を及ぼしています。まず、人々が感染対策として不特定多数の人と接触する機会を減らそうと、公共交通機関の利用を控えるようになったことです。かわりに乗用車を使う方が増え、一時的に中古車の需要が高まりました。また屋外での遊びやレジャーも避けるようになり、富裕層が趣味性の高い高級車にお金を使うようになったことも挙げられます。そのため、こうした高級車の人気が急激に高まり売れるようになりました。新型コロナウイルスが自動車製造・販売の分野に及ぼした影響はこれに限らず、海外での感染拡大の影響で国内の工場が稼働停止するなど、連鎖的に各方面で悪影響が出ています。以下では、上記の「感染対策」と「富裕層の間での需要増」についてさらに詳しく説明します。新型コロナウイルスの感染症の流行に伴い、人々の行動が著しく制限されるようになりました。そして、公共交通機関での密を避けるために車を使用する方が急増したことで、車の需要と価格が急激に高まる結果になりました。コロナが流行する前と後で、人々の移動手段がどう変わったかを比較したデータがあります。それによると、「公共交通機関が34.9%~26.2%に減少」し「自家用車が40.3%~44.8%に増加」しています。このように自動車の使用頻度が高まったことで、中古車の需要が増えると同時に手持ちの車を売らずに乗り続ける傾向が大きくなりました。その結果、中古車市場は一時的に人気が上昇したのですが、すぐに品不足と価格の高騰という事態に至ったのです。人々の行動様式の変化は、思いがけない形で中古車市場に影響を及ぼしました。コロナの感染拡大に警戒する空気がいつまで続くかは不明ですが、今後の動向にも注意が必要です。運転性能よりも趣味性の高い車種が、異常とも言える人気ぶりを見せていることも中古車高騰の一因です。新車の販売が振るわない中、ポルシェやフェラーリなどリセールバリューの高い高級車の注目度が上がっています。これは、コロナの影響で海外旅行やスポーツなどの娯楽が制限されたことで、それらとは別の分野にお金が流れているからでしょう。特に富裕層が、このような高級車の購入に使っているとされています。高級車は高い転売益が見込めることから、投資目的で購入されるケースもあります。投資ということでいえば他にも、「絶版車」と呼ばれる生産終了となった人気中古車なども、絶好の投資対象になっています。アメリカの「25年ルール」による値上げ
「ネオクラシック」と呼ばれる90年代の中古車が高騰した理由の一つとして、アメリカの「25年ルール」の存在も挙げられます。アメリカでは右ハンドルの輸入を禁止するルールがありますが、製造後25年超の車はそのルールが適用されません。もともと日本車は、性能の良さからアメリカでも人気でした。そこへ製造後25年が経った90年代の車が年代的に輸入可能となったことで、中古車のアメリカへの輸出量が増えているのです。アメリカでは、右ハンドルの車は登録・走行ともに原則禁止です。しかし、製造後25年を過ぎた車はこのルールの適用外となることから、近年、日本車がアメリカへ大量に輸出されています。例えば、1889年〜1994年に販売されたR32型GT-R などにもこのルールが適用されます。このように、生産終了となった国産スポーツ車の中古品が海外に流出し、国内の中古車価格を押し上げているのです。さらに、話はスポーツタイプの中古車にとどまらず、軽自動車やミニバン、ファミリーカーのようなタイプの車までもが海外輸出の対象になっています。その結果、中古車市場はますます品薄が進み、他の要因とあいまって価格高騰が起きているのです。25年ルールが変更されなければ、アメリカに輸出できる車種は今後さらに増えるでしょう。つまり、1990年後半以降に製造された車も輸出が可能になり、日本の中古車市場は高止まり傾向が続くかも知れません。もともと、日本製の中古車は海外でも根強い人気があります。その理由はいくつかありますが、耐久性と燃費がよ良く、またリセールバリューが高い点が最も大きいでしょう。燃費については、アメリカは土地が広く走行距離も長いことから、より低燃費の車が好まれます。日本と比べてガソリン価格は安いのですが、やはり維持費が抑えられると喜ばれるのはアメリカも日本も同じです。また、耐久性についても評価が高く、道路事情があまり良くない中東やアフリカでは、頑丈なランクルが人気です。日本車の燃費の良さと耐久性の高さ、それに造りの精巧さは世界に誇れると言っても過言ではありません。日本製の中古車の一番の輸出先であるアメリカでは、新車は3~4年のリース契約で購入されることが多く、ディーラーはリースアップ後に中古車として転売することから、より長持ちする車が好まれます。この点でも日本車は信頼が厚く、人気も高いのです。半導体不足と生産減による値上げ
中古車が高騰している要因として大きなものを挙げるなら、やはり新型コロナウイルスの感染拡大でしょう。これが各方面に大きく影響して「半導体不足」「大手企業の生産減」「下取車不足」などを誘発し、相乗効果で負のスパイラルを起こしています。原油の価格高騰も深刻です。原油の仕入価格が上昇すれば石油製品の生産コストも上がるため、自動車に欠かせないガソリン、タイヤ、バッテリーの価格上昇につながっています。現在、自動車市場は品薄が続いており、新車に至っては注文しても納車が数ヶ月先という状況です。原因の一つが世界的な半導体不足で、各方面でのデジタル化に伴い、需要の急拡大と供給体制の逼迫が生じています。需要の急拡大については、テレワークの急増や巣ごもり需要の拡大、ウイルス感染防止策としての乗用車の需要増などが原因と見られています。またコロナ禍で生産や物流がストップしたことで、一部の部材も入手困難になっています。次に供給体制の逼迫については、半導体メーカーがコスト減のために自社生産から受託企業への製造委託へ舵を切ったことが大きな原因の一つです。受託企業側の生産体制が、注文の急増に追い付かないという事態に陥っています。そして、デジタル機器化した現代の車は半導体不足で生産が停滞しています。さらにコロナ禍から一足先に抜け出した中国国内での需要増により、市場は半導体などの部品は奪い合いのような状態です。深刻な半導体不足などの理由から、自動車の生産が停滞しています。そのため、業界全体でも新車の納期が遅れる傾向にあり、待ち切れないユーザーが中古車を購入するというケースも増えています。また、生産台数が落ちれば一台当たりの生産コストは上昇し、メーカーはその分を価格に反映させるしかありません。それで販売が振るわないとまたコストが上がるので、生産減少と価格上昇の負のスパイラルが生じる結果となっています。こうした中、2021年9月にトヨタ自動車は8月に公表した計画を急に変更する形で生産計画の見直しを発表しました。世界全体での生産台数が約40万台減少するという内容は、業界に衝撃を与えました。半導体が世界的に不足している中、トヨタが工場の停止と減産を決定したことで、今後も新車の納入遅れが進むだろうという予測がユーザーの間で広がりました。このため、買い控えに伴う下取車の不足も進んでいます。本来なら、新車の買い替えが進めば下取車も増えて、中古車市場の活況につながります。しかし、新車が売れず、買い替えるとしてもユーザーはすぐに納車可能な中古車を選びがちなことから、結局中古車の高騰状態は続いたままです。最近は原油価格も大幅に値上がりしており、例えばガソリンは2021年11月時点で約7年ぶりの高値水準を記録しています。こうした状況も、半導体不足とあいまって中古車の価格高騰に追い討ちをかけています。原油価格が高騰した理由は、停滞していた経済活動が再開されたことによる反動です。コロナの感染拡大のため世界経済は不振に陥りましたが、ワクチン接種が進んだことで一気に経済活動が再開し、原油の需要も急上昇しています。これに供給が追い付けばいいのですが、石油輸出国機構(OPEC)は増産を見送りました。さらに、アメリカの石油関連施設が自然災害に見舞われたことで、世界的な供給不足となっています。その結果、自動車の製造に欠かせないタイヤやバッテリーなど、各種パーツの生産コストも高くなる一方です。さらに、中国の需要が増えていることで海上コンテナが不足しているなど、さまざまな要因が車の値上げに拍車をかけています。海外メーカーも軒並み値上げ
原油価格の高騰が止まらない状況で、ガソリン価格も上昇が続いています。こうした状況は国内の自動車生産のみならず輸入車の価格にも影響しており、有名海外メーカーも軒並み自動車の小売価格変更に踏み切っています。2021年9月、メルセデス・ベンツ日本は「EクラスとSクラスの一部装備および価格の変更」を発表しました。理由は原材料費高騰の対応で、E200スポーツの場合で769万円から793万円への値上げとなりました。2021年10月1日~、フォルクスワーゲンも全国希望価格を一部改訂することを発表しています。こちらも原材料費の高騰に対応するためで、価格改定の幅は対象モデル平均で約1.5%です。2021年9月21日~、ステランティス系の子会社では、プジョーが208、e-208、2008などの7種類の価格を改定しています。そして同日にシトロエンもC3、ベルランゴ、C5エアクロスSUVの3車種を価格改定しました。2021年10月15日~、DSはDS3クロスバックを価格改定しています。2021年10月18日~、フィアットは500、500C、500X、パンダの4車種を価格改定しています。2021年8月6日~、ジープはラングラー、レネゲードの2車種の価格を改定しました。車の値上げによる悪影響は?
自動車販売市場における車両価格の高騰は、新車・中古車ともに販売不振を招いており、各業者は頭を悩ませています。また、影響はそれだけにとどまらず、すでに車の購入を決めた方や、購入を予定している方にまで及んでいます。新車の納入遅れも深刻で、販売現場では通常1~3カ月で新車が納入されるところが約5~6カ月まで延びるという事態が発生しています。これはコロナの感染拡大や半導体不足により、国内自動車メーカー各社が大幅な減産を余儀なくされたためです。車検切れや介護・転勤などの理由ですぐに車を購入したい方が、納期未定の新車よりもすぐ納車される中古車を選ぶのは当たり前のことです。よって、新車販売店は苦戦を強いられています。もともと「新車」へのユーザーの興味は、かつてに比べると薄れる傾向にありました。現代の車は、耐久性や安全性は向上したものの基本性能やデザインに大きな変化がなく、ユーザーも目新しさを感じられなくなっていました。そして、多くのユーザーが現在所有している車に特に不満を抱かず10年あるいは10万キロと乗り続ける中、今回の自動車価格の高騰が発生しています。この状況では、今後も「車離れ」が続くかもしれません。今後の中古車価格の見通しは?
これまでにも経済危機と呼ばれる状況は何度かありましたが、現在ほど中古車相場が異常に高騰したのは初めてです。今後一体どうなっていくのか、半導体不足の状況と各メーカーの取り組みについて説明します。半導体の供給不足は、恐らく今後も続くでしょう。コロナ禍によって在宅勤務は珍しくなくなり、AI機器を用いた自動運転や電気制御式の自動車も増えていることから、需要がますます増えるとされているからです。さらに、供給不足を原因とする値上がりも起きています。2021年4月には、多くの半導体メーカーが材料費の高騰を理由に、半導体用シリコンウェハーの価格を上げたと報じられました。アメリカのバイデン大統領は、国内の半導体の生産能力・競争力を強化する考えを示しています。しかし、アメリカと中国は、コロナ禍よりも前から半導体シェアを巡って対立していますし、この状態は2021年1月にバイデン政権が発足してからも続いています。しかし、悪いことばかりではありません。半導体不足による減産は企業にとっては大きな損失ですが、サプライチェーンの見直しや、半導体市場での遅れを挽回する大きなチャンスとも言えます。各自動車メーカーも、中古車の安定供給のために個人リースやサブスクリプション(定額利用)などの新サービスを展開しています。これらはすべて、数年後には車が中古車として販売店に戻ってくる仕組みになっています。中でも将来有望なのが個人向けのリース市場で、車の税金や維持費などの面倒な費用を全部まとめて分割で支払えるシステムは、特に若者に人気です。価格高騰と販売不振は、今までになかったニーズの掘り起こしや新しい事業の展開につながっています。個人向けのリース市場は実績も右肩上がりの状況で、今後も期待が持てます。現在の半導体不足の状況さえ改善されれば、中古車不足が解消される日も遠くないでしょう。まとめ
①中古車の価格は高騰している②コロナ禍の感染対策で需要が増したのが高騰の理由③アメリカの「25年ルール」も、日本製の中古車人気に拍車をかけた④世界的な半導体不足と、大手企業の生産減も高騰の理由⑤下取車の不足や原油価格の値上げも高騰の理由⑥車の値上げによって、新車の納期が遅れたり、新車への興味関心が薄れるなどの悪影響がある⑦半導体不足はしばらく続くとされている⑧中古車不足の解消をめざした動きは始まっている
ライタープロフィール
グーネットマガジン編集部1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。
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