XperiaがAndroidスマホ販売シェア1位に浮上――今さら感強い「Xperia View」に不安要素:石川温のスマホ業界新聞
MM総研が2021年度上期(2021年4月〜9月)の国内携帯電話端末の出荷台数を発表。スマートフォン出荷台数で、ソニーがAndoridスマートフォンで1位となり、これまで1位をキープしていたシャープは2位に陥落した。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年11月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
ソニーとしては、Xperia 10 IIIやXperia Ace IIなどが好調なのだろう。低価格路線でユーザーが手が届きやすいとともにサブブランドやMVNOなどの販路拡大もあって、販売台数を伸ばしたようだ。
他社が得意としていた「ミドルクラスで台数を稼ぐ」という戦略が、ようやくソニーでも成功を収めつつあるのだろう。
スマートフォンメーカーとしては「ハイエンドでメーカーとしてのブランド力を訴求しつつ、ミドルクラスで台数を稼ぐ」というのが定番の勝ちパターンとなりつつある。10年連続、スマートフォン出荷台数1位のアップルも毎年、秋にハイエンドとして新製品を投入しつつも、しっかりと台数を稼いでいるのは今年であればiPhone SE、最近であれば1円で売られることも珍しくなくなったiPhone 12 miniではないか。
ソニーとしてはXperia 1 IIIやXperia 5 IIIといったハイエンド路線も支持されているなか、さらに上をいくXperia PRO-Iも投入してきた。ソニーはXperia PRO-Iに関してはグローバルでもチカラが入っているようで、YouTubeには世界各国からレビュー動画が上がっている。
コメントを見ても、英語などで「ソニーらしい製品」と絶賛されているのを見ると、ユーザーに「わかりやすく、ソニーとしての個性があるスマホ」として認識されているようだ。
ただ、一方で、VRヘッドセット「Xperia View」が、なぜ、このタイミングに発売になったのが、いまいち、よくわからない。スマートフォンを使ったVRヘッドセットは、サムスン電子がGalaxyで散々、アピールし、CESやMWCの会場でスポーツやゲームなど、まるで遊園地にあるような設備を使ってバーチャル体験させており、国内でもGalaxy Harajukuなどでも展開していた。しかし、結局、普及することなく、サムスン電子はあっさりと諦めてしまった過去がある。
確かに世間では「メタバース」が注目を浴びているが、Xperia Viewでは、そこまで多機能なことができるというわけではない。限られた映像コンテンツを視聴できるだけにとどまっており、「今さら感」が強いのだ。
もうちょっとVRチャットに参加できるとか、開発者がコンテンツを作れると言った仕掛けがあるといいのだが、そこまでの拡張性がないっぽいのは残念だ。
せっかく、肝心要のスマートフォンの売り上げが上がっており、さらにメタバースも追い風になっているのだから、丁寧にXperia Viewの商品戦略を展開しても良かったのではないだろうか。