ソフトバンクの湧川氏が語る、Beyond 5G/6G構想
「アーキテクチャの挑戦」
現在、モバイル向けのデータ通信は、インターネットの技術をそのまま使っている。これが、「パケット交換」というしくみで、ひとつの回線を複数のサービスやアプリケーションで共有する。
データはそれぞれ「パケット」と呼ばれる小さなまとまりに分けられ、パケットを共通の回線に通すことで、全員でひとつの回線を共有することが可能になる。ただし、通信の性能は混雑度に左右されてしまう。
それに対してモバイルの電話サービスは、前述のパケット交換とは相反する「回線交換」という技術で成長してきた。電話の受け手と話し手に対して専用の回線が提供されるため、通信品質の保証が可能になる。
そしてソフトバンクは、インターネットの世界で難しかった「通信品質の保証」を目指す。これは50年来の課題とされており、複数の事業者によって構成されるインターネットの世界では、事業者間の調停などを含めて品質保証が困難だったという。
そのカギを握るのが、5G時代の技術であるエッジコンピューティングだ。通常はクラウドにあるサーバーを、端末により近い位置(エッジ)に置くことにより、低遅延な処理が実現する。
そしてこのエッジはソフトバンクのネットワーク内にあるため、単一事業者として品質保証の概念を確立できるというわけだ。
また、5Gで出てきた概念であるネットワークスライシングは、ひとつのネットワークを分割し、さまざまなユースケース向けにカスタマイズするもの。これが6Gではより細分化され、多様な産業に対応可能なネットワークを提供できる、と湧川氏は強調する。
湧川氏は、サービスを使いやすくするための「インフラ要求のAPI化」や、ダイナミックにネットワークを動かしていくAIネットワークについても触れ、さまざまな産業に対して革新的なインフラを提供していきたいとした。