新型ウイルス感染の可能性を確認 中国の「濃厚接触」アプリ
あなたが新型コロナウイルスに感染した可能性はどれくらいか。それを判定するアプリが中国で開発された。
中国国家衛生健康委員会(NHC)は8日、「濃厚接触検出器」アプリの提供を開始した。
このアプリは、新型ウイルスの感染が確認された人物、あるいは感染の疑いがある人物の近くにいたかどうかを知らせてくれる。
感染のおそれがあると判断された人は、自宅で待機し、地元の保健当局に通知するよう求められる。
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中国国営新華社通信によると、このアプリは、保健当局や交通当局からのデータを用いて、中国政府機関と中国電子科技集団公司が共同で開発した。
情報を照会するには、ユーザーは、中国電子商取引大手アリババのアプリ「アリペイ」や、中国ソーシャルメディア「ウィーチャット」のようなアプリを使って、スマートフォンでQRコードをスキャンする。
アプリに携帯電話番号が登録されると、ユーザーは名前や国民IDナンバーの入力を求められる。登録済みのすべての電話番号を使って、最大3つの国民IDナンバーの状況(ステータス)を確認できる。
監視社会を浮き彫りに
このテクノロジーは、中国政府が国民を綿密に監視していることを明らかにしている。
中国政府は、国民に対して高水準の監視を行っていることで広く知られている。しかし専門家は、少なくとも今回のアプリのケースでは、国内で物議を醸すことはなさそうだとしている。
香港の法律事務所DLAパイパーのテクノロジー専門弁護士、キャロライン・ビッグ氏はBBCに対し、「中国国内、そしてアジア全域では、情報というのは遮断するものではなく、活用できるものだとみなされている。必要に応じて同意を得て、透明性のある方法で提供される」と述べた。
さらに、「中国側の視点からすれば、このアプリは人々にとって本当に有益なサービスだ。(中略)良い使われ方をするとデータがどれだけ力を発揮するかを存分に示す、本当に強力なツールだ」と付け加えた。
濃厚接触の定義とは
中国政府の「濃厚接触」の定義は、効果的な予防をしないまま、新型コロナウイルスへの感染が確認された人物や、感染の疑いがある人物、症状がまったく現われない軽度の感染者に近づくこと、というものだ。
「濃厚接触者」は、以下の人々が含まれる。
例えば、感染者の席から3列以内に座っているすべての乗客や客室乗員は、濃厚接触者とみなされる。それ以外の人は一般的な接触があったと記録されるという。
空調設備がある列車の場合、感染者と同じ車両のすべての乗客乗員が濃厚接触したとみなされる。