グーグルが決済ベンチャーのpringを買収、加速する金融デジタル化の行方
スマートフォンアプリで決済や送金が手軽に利用できるサービス「pring(プリン)」を運営するpring社は2021年7月13日、米Google(グーグル)による買収を発表。大きな驚きをもたらした。グーグルの狙いはpringが得意とする「送金」にあるといえそうだが、外資系のIT大手の動きが国内の事業者にも影響を与え、金融デジタル化の波が一層加速しそうだ。
決済よりも送金に強みを持つpring
QRコード決済を主体としたスマートフォン決済サービスが大きな注目を集めて久しいが、それらの中で目立っているのは、「PayPay」「d払い」など大きな資本力を持つ携帯電話大手が提供するサービスである。だがそれ以外にも堅調に事業を伸ばして注目を集めているサービスがいくつかあり、その1つがpringである。
決済サービスの「pring」のWebサイト。pringはスマートフォンアプリを用いた決済サービスであるが、どちらかといえば個人間の送金に強みを持つサービスとして知られる(出所:pring)[画像のクリックで拡大表示]pring社はフィンテックやデジタルマーケティングなどを手掛けるメタップスの持分法適用関連会社。そしてpringはスマートフォンアプリとして展開されているデジタルウォレットサービスである。QRコードによる決済も利用可能だが、使える店舗は大手のサービスと比べると少なく、大規模キャンペーンなどを展開しているわけでもないことから、決済分野では目立つ存在とはいえない。
一方で、強みを持っているのが送金である。pringは手数料無料で相手に送金できるのに加え、チャット機能を備えており、お金を送る相手とコミュニケーションを取りやすい仕組みを整えるなど、個人間送金に力が入れられている。送金されたお金は決済での利用も可能だが、ひも付けた銀行口座や、セブン銀行のATMなどから出金できるなど現金化しやすいのも特徴で、月1回であれば手数料無料で出金可能となっている。
またpring社は送金の強みを生かし、個人向けだけでなく、法人向けにも「業務用プリン」というサービスを提供している。こちらは企業から個人に対して安価な手数料で、かつスピーディーに送金できる仕組みを備えている。社員の経費精算や、個人への報酬支払い用途として採用が進んでいるようだ。
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