新幹線の車内で遭遇した特殊なナンパ手口の一部始終
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誠に僭越ながら先日、特殊なナンパに遭遇したのでご報告をさせていただきたい。 出張で新幹線に乗るときは、移動時間を利用して必ず仕事をするようにしている。長距離移動のストレスを緩和するために大好きなティーラテを買い、東京-大阪間の2時間半をリラックスしながら集中できる環境を作ったことで、いつのまにかそれが出張の唯一の楽しみになった。【写真】この記事の写真を見る(2枚) 昨年から今年にかけてはコロナ禍で出張の数が激減してしまっていたのだが、少し落ち着いたころ、またちらほらと長距離移動の仕事をもらえるようになり、その日もいつものように新大阪駅のスターバックスでイングリッシュブレックファストティーラテを買って、意気揚々と東京行きの新幹線に乗り込んだ。
人の親切心を利用して
指定席の車両はガラガラで「これなら自由席でも良かったかなぁ」と思いながらパソコンを開き、スマートフォンを充電ケーブルにつないで、さっそく作業に取り掛かる。15分ほどすると新幹線は京都駅に停車し、乗客がまばらに乗り込んできた。ふと視線を感じて顔をあげると、東南アジア系の顔立ちに見える男性が2人、ゴロゴロとキャリーケースを押しながら自由席専用車両の方向へ歩いていくところで、そのうち1人がこちらをじっと見ていた。 一瞬目が合ったが、特に気にすることもなく作業に戻り、彼らも足を止めることなく隣の車両へと姿を消していった。それから10分後くらいだったか、突然誰かに肩を叩かれたので通路側に目をやると、先ほど目があった男性が一人で佇んでこちらに目を向けている。「あの、充電、させてくれませんか」 男性がスマートフォンの画面を見せてくるので確認してみると、確かに電池の残量が11%しかなかった。さっき私がスマートフォンを充電しているのを見て、ダメ元で声をかけにきたのだろう。日本語が不慣れな様子だったので、こちらとしても不慣れな英語で「英語は話せますか」と聞いてみると、「英語より日本語の方がまだわかる」とのことだったので、とりあえずコミュニケーション言語には日本語が採用されることとなった。
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