ハイブリッド車のバッテリーはいつの間にか劣化している! 起こる症状と劣化を鈍らせるコツを経験者が伝授
ニッケル水素とリチウムイオンで劣化の仕方が異なる
昔に比べると格段に性能が進化したとはいえ、バッテリーは長く使っていくうちに徐々に性能が劣化してしまいます。気温の変化や使用環境も劣化の原因になります。スマホや携帯電話を長く使っていると、だんだんバッテリーの“持ち”が悪くなってきたり、季節によって“減り”が早くなるように感じることがありますよね。ハイブリッドのバッテリーもそれと同じなのです。どの程度劣化してきているか、判断する方法はあるのでしょうか。そして、使い方によって劣化を遅らせる方法もご紹介したいと思います。
まず、日本を走るハイブリッド車には、主にニッケル水素バッテリーとリチウムイオンバッテリーを搭載する車種が多いのですが、両者で劣化の特性が変わってきます。一般的に、ニッケル水素バッテリーは新品時の性能からゆるやかに劣化していくのに対して、リチウムイオンバッテリーは新品時の性能が長く持続する反面、劣化する時はガクッと一気に落ちると言われています。そのため、リチウムイオンバッテリーは普段の走行で劣化を判断するのは難しいと言われています。バッテリーが異常な状態になると警告灯が点灯しますが、それまで何の予兆も感じなかったという人がほとんど。ただ、メーカーでは保証期間を設定しているほか、走行中にそうした異常が起こらないようさまざまな安全制御システムを介入させているので、過剰な不安を感じる必要はありません。
そしてニッケル水素バッテリーを搭載したハイブリッド車に10年、15万km乗った経験からお話しすると、ニッケル水素バッテリーはほんの少しずつではありますが、バッテリーの劣化を感じるポイントが出てきます。まず燃費です。1〜2年も乗ると、季節によってだいたいの平均燃費を把握できると思いますが、その夏場と冬場の平均燃費が少しずつ悪化してきます。同じ道を同じ時間で走行しても、以前は24km/Lくらいの燃費が出たのに、23km/Lしか出ない、といった感じで最初は「気のせいかな?」「タイヤが減ってきたせいかな?」とバッテリーの劣化のせいとは言い切れないくらいの兆候です。
劣化を遅らせるカギは駐車中にある
そしてもう1つ、信号待ちなどでアイドリングストップをしている時間が短くなってきます。メーターのバッテリー残量が満タンの場合は、当初は2分くらいの長い信号待ちでも最後までアイドリングストップできていたところが、だんだんと途中でエンジンが再始動するようになってきました。これも劣化の兆候の1つと言えるでしょう。
また、長く乗っているハイブリッドユーザーに聞いたところによると、長い上り坂を走っている途中で、いきなりエンジン音が大きくなったりするとのこと。これも、バッテリーのアシストが持たず、途中でエンジンのみに切り替わってしまうことが考えられます。こうした症状に心当たりがあれば、バッテリーの劣化が始まっていると言えそうです。
では、劣化を遅らせるにはどうすればいいのでしょうか。じつは、劣化を遅らせるカギは走行中ではなく、駐車中にあります。ニッケル水素とリチウムイオンの特性として、バッテリーがほとんど減った状態で駐車すると、バッテリーの寿命を縮めてしまいます。次回の走行時に充電がうまくできなくってしまう可能性もあるので、必ず、ある程度バッテリー残量が残っている状態で保管するようにしましょう。逆に、満タンの状態での駐車もバッテリーにとって負担になります。最近のハイブリッド車は、劣化を考慮して完全に満タンにならないよう制御されるモデルもありますが、意識してバッテリーを適度な残量に保つといいでしょう。
もう1つは、駐車中の熱に注意することです。とくに、夏場の閉め切ったガレージのような、熱がこもりやすい場所は最悪。直射日光が長時間当たるような場所も、バッテリーにとっては過酷な環境となります。できれば屋根や木などで日陰になり、風通しがよく熱がこもらないような場所で保管するようにすると、バッテリーをいたわることができるのです。
もちろんこのほかにも、夏場の長時間のノロノロ渋滞、燃費をよくしようと常に充電と放電を繰り返しながら走行することなども、バッテリーを酷使して劣化を招いてしまいますので要注意です。今日からできるバッテリーにやさしい行動で、少しでも長くいい状態を保ちたいですね。
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