ガソリン価格の高騰で世界が注目 「軽自動車」の実力を侮るなかれ! 専門家が解説
どこまで上がるか…(C)日刊ゲンダイ
ガソリン価格は、この先どうなるのか。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、24日の原油先物価格は一時、1バレル=100ドルを突破。日米などは価格上昇を抑える対策を打ち出しているが、戦況や資源国ロシアの揺さぶりなどによっては、効果が薄いかもしれない。そこで気になるのが、クルマだろう。より燃費性能が高い車種に乗り換えるべきか。自動車ジャーナリストの横田晃氏に聞いた。セゾン自動車火災保険が仕掛ける「ほけんnote」佐藤史朗社長に狙いを聞く ◇◇◇ 石油情報センターによると、24日に発表されたレギュラーガソリン価格は全国平均で1リットル当たり172円。九州は176円、沖縄は178円と、180円目前のエリアもある。 石油の高値が続くことから政府は1リットル当たり170円以上になると、1リットルについて最大5円を石油会社などに支給する激変緩和策を導入。補助金はすでに上限の5円に達した中でのウクライナ問題で、助成額を最大25円に増やす方針を発表している。 石油は国家で備蓄していて、現在は240日分を確保。液化天然ガスの備蓄もあり、岸田首相は「エネルギーの安定供給に直ちに大きな支障はない」と強調する。供給に滞りはなくても、価格への影響は少なからずあるだろう。それだけにクルマの燃費は改めて検討しておきたい。
リーフの電費はプリウスより2万円安い
EVの充電場所はアプリで探して
一気に注目度が高まっているのが、日産リーフに代表される電気自動車(EV)だ。ガソリンを使わず、駆動用バッテリーのモーターで動く(オーディオやエアコンなどには補助バッテリーを使う)。 リーフの場合、バッテリー容量は40キロワット時と62キロワット時の2種類で、容量が大きいほど走行距離が長く、国際規格のWLTCモードで走ると、それぞれ322キロ、458キロだ。東京からだとどちらも名古屋までは1度の充電で到達するが、大きいタイプでも大阪は厳しい。 肝心の電費は、どうなのか。40キロワット時の容量だと、1キロワット時当たり8.05キロ。この条件で年間1万キロ走り、家庭での充電料金を1キロワット時当たり25円と仮定すると、1万キロ走行に必要な電力量は1242キロワット時で、これに25円を掛けると、充電料金は3万1050円。 これに対してガソリンと電気を組み合わせたハイブリッド車(HV)の代表格トヨタプリウスはどうか。最高の燃費はガソリン1リットル当たり32.1キロで、1万キロ走行には約312リットル必要。ガソリン価格を現在の1リットル172円とすれば、5万3664円。 なるほど、EVの電費は安い。さらにエンジンがないEVは、エンジンオイルやオイル設備の交換も不要。エンジンがあるタイプに比べると、メンテナンス費用もグンと安くなる。■電池の劣化でフル充電でも新車時の7割に プリウスでさえ、EVの電費には劣る。1リットル15キロほどの燃費のガソリン車だと、その差はさらに大きくなり、約11万5000円とEVの3.7倍だ。原油高の今、EVが注目されるのは納得だが、盲点があるという。「EVに使われるリチウムイオン電池は、スマホでご存じのように使うほど劣化します。いつのまにかフル充電したつもりでも、実際は新車時の7割、6割だったりということがあり得るのです。当然、バッテリー交換の保証制度がありますが、その範囲を超えて自腹となると、場合によっては100万円近い負担になります。ガソリン車のように10年単位で乗り換えたり、通勤で片道50キロ以上走ったりする人にはお勧めしません」 EVのバッテリー保証は、新車登録から8年か走行距離16万キロのうち早い方で、交換後はバッテリー容量の7割が相場。前述のリーフの場合、7割での走行距離はそれぞれ225キロと321キロに落ちる。片道50キロ通勤の人は、2、3日に1回充電の必要がある。これは面倒だ。「EVのリチウムイオン電池が改良されたとはいえ、普通充電で8時間、急速でも30分以上かかります。プリウスが200万円台からあるのに、リーフは300万円超。その価格差は電池の高さです。そして、走行距離がガソリン車より短いのも電池の性能によります。よく乗る人ほど使い勝手が悪い。この現状でEVが勧められるのは、街乗り中心であまり乗らず電池の劣化を防ぎ、最初の3年車検を通さずに乗り換えるような人。そのような人も買うなら、絶対に国産です。海外のEVは電池の発火事故が報告されていますが、リーフはゼロ。この事実は重いでしょう」