東光高岳とユビ電が『WeCharge HUB』を発売〜電気自動車充電課金の課題を解決へ
充電用コンセントをバックボーンで制御する
まず、『WeCharge HUB』に関する東光高岳からのプレスリリースの説明を引用します。
WeCharge HUB は、多種多様なエネルギー計測機能を実装したネットワーク型のコントローラである東光高岳製「エコ.Web5®」に専用設定を行い、ユビ電のWeCharge電気自動車充電サービスとクラウド連携したIoT型の充電認証課金コントローラとなります。WeCharge HUBは、遠隔スイッチや各種センサー等が連携動作することで、EV充電設備を設置した駐車場において多様な充電管理、充電課金の課題を解決することが可能となります。
一読してすっかり理解できる方は、電気自動車や電力設備の専門家レベル、ですね。私はうまく理解しきれなかったので、東光高岳やユビ電に電話していろいろ教えていただきました。リリースに添えられていたシステム図をもとに、わかりやすく解説していきます。
『WeCharge HUB』の仕組み
まず、WeCharge HUB は「充電器」ではありません。おもに、電気自動車充電用コンセントやケーブル付き充電器などに供給する電源を制御するための「ソリューション」です。
リリースで紹介されている東光高岳の『エコ.Web5』は「多種多様なエネルギー計測機能を実装したコンパクトなコントローラ」で、東光高岳のウェブサイトを探すと、写真も紹介されていました。
この製品に、「ユビ電のWeCharge電気自動車充電サービスとクラウド連携」した専用設定を行うことで、『WeCharge HUB』のコントローラになるということです。
このコントローラを、ユビ電が提供する『WeCharge』と名付けられたIoT制御によって、従来の機器では悩ましかったさまざまな課題解決を実現することができます。
『WeCharge HUB』の特徴●WeCharge HUB(コントローラ)ひとつあたり最大8個のコンセントやEV充電器を利用可能。●コンセントやEV充電器の遠隔制御、充電管理、認証課金を実現。●EV充電に使用可能な電力量を考慮し、同時充電可能台数を制御。●スマートフォン(WeChargeアプリ)でQRコードを読み込むことで充電がスタート。●充電用電源は認証時のみ通電可能な設定にすることができる。●『WeCharge』の仕組みによって合理的な認証と課金が可能。
集合住宅や宿泊施設などで合理的な課金を実現
ユビ電株式会社は、ソフトバンク株式会社の社内起業制度『ソフトバンクイノベンチャー(SoftBank InnoVenture)』で初回の2011年に優勝したことをきっかけに生まれたベンチャー企業です。設立は2019年4月。2020年8月にプレサービスを開始して、本サービス開始を目指してきましたが、東光高岳との協業によっていよいよ本格的なサービスをスタートします。
『WeCharge』の公式サイトを改めて確認すると、本サービスのローンチに向けて「料金プラン」が発表されていました。『WeCharge HUB』を導入して設置した充電設備は、基本的にこのシステムによって認証課金を行う。つまり、ユーザーはこの料金で使用することになります。
都度課金の『Basic』プランの場合、月額基本料は無料、充電料金が「55円/1kWh相当」となっています。「WeCharge充電サービスの「kWh相当」は、実際にコンセントや充電器において計量器を使用して電力量を測定した「kWh」とは異なります」と注釈はありますが、ユーザーとしては納得感の高い、事実上の従量課金(と、呼んでいいかどうかはユビ電に確認中です)を導入しています。
eMPネットワークのゲスト充電の場合、普通充電の都度利用料金は「8円/分」なので、出力3kWhとして1kWhの充電時間は20分、8円×20分=160円に比べると、1/3程度の料金で充電できることになります。念のため付記しておくと、20分160円はあくまでも「ゲスト」料金です。自動車メーカー各社の充電カードでeMPネットワークに連携した普通充電器を利用する際の料金は「無料〜2.5円/分」なので、2.5円/分でも20分(1kWh相当)で50円と安くなります。
導入コストは、確認中です
WeCharge HUB の価格はいくらなのか。両社に問い合わせてみましたが、まだ正式なカタログなど作成中で未発表(東光高岳)。そもそも、コントローラの価格が決まったとしても、ソリューションとして WeCharge HUB を導入するためには、コンセントや充電器を設置したり、その施設の状況によって契約電気容量に応じた工事などが必要になるので、一概に「定価はいくら」という性質のサービスではないとも言えます。
引き続き「目安となる導入コストがわかれば教えて欲しい」とユビ電にお願いしてあるので、続報来たら追記します。
●WeChargeに関する問い合わせはこちら。
ちなみに、ユビ電では宮古島の太陽光発電に由来したグリーン電⼒証書の販売も行っています。WeCharge HUB による充電設備を再生可能エネルギー100%で賄う、ことも可能ということですね。
ともあれ、幅広い施設でおそらくは従来の「認証課金機能付き普通充電器」よりは手頃に、使用電力量(デマンド)コントロールなどの充電管理機能を備えたサービスの登場は、日本の電気自動車普及にとって朗報です。ユビ電が「WeChargeをどのように広げようとしているのか」など、改めて取材してレポートしたいと思います。