日銀の金融政策、引き締め方向への転換はないと理解-片岡委員
伊藤純夫更新日時
(発言の詳細を追加して更新しました)
日本銀行の片岡剛士審議委員は24日、2%の物価安定目標の達成が展望できない現状において「日本における金融政策は、少なくとも引き締め方向への転換はないというのが基本的な理解だ」と語った。青森県金融経済懇談会の終了後に記者会見した。
物価の先行きは、ウクライナ情勢など地政学的リスクの高まりに伴う原油など原材料価格の上昇や、携帯電話通信料値下げの影響の剥落などで、4月以降は「1%半ばを超える物価上昇が長期化する可能性はある」と指摘した。物価上昇の裾野が広がっているのは事実としたが、基調は弱いとし、「物価上昇の勢いという観点から見ても、2%が安定的に達成できる経済環境からは遠い」との認識を示した。
足元で1ドル=121円台まで進行している円安の影響については、輸入価格への短期的な影響と、輸出量の増加という中長期的な影響、外貨建て資産を円換算した資産効果の三つが中心と説明。これらを合わせて考えれば「全体的な効果はプラス」と主張した。輸入価格への影響は「全体から見ると非常に小さい」と語った。
7月に5年間の任期満了を迎える片岡氏は、2%の物価目標の実現には追加緩和が必要とし、金融政策決定会合で金融政策の現状維持に反対票を投じ続けている。
物価目標が実現できていない点について「ボードメンバーの一員として非常に責任を感じている」とし、結果が全てであり、現状の金融緩和策は十分ではなかったと指摘。追加緩和の議案を提出していないことに関しては、政策維持に反対しているのが片岡氏だけという状況下で「議案を提出しても結果は変わらず、単純に時間が延びるだけだ。議論の中身を重視した」と語った。
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